《質問》

政党代表が八億円を無利子無担保で借り入れたことに関する質問主意書


 みんなの党の渡辺喜美代表が二〇一〇年来、とある企業経営者より総計八億円にも上る金員を借り入れていたことに関し、本年四月七日、代表の職を辞することを表明した。右と、猪瀬直樹前東京都知事が、徳洲会の徳田虎雄代表から五千万円もの金員を無利子無担保で借り入れたことについて質した質問主意書への答弁書(内閣衆質一八五第一一〇号。以下、「政府答弁書」とする。)を踏まえ、質問する。


一 公職選挙法や政治資金規正法、政党助成法等で規定される政党(以下、「政党」)は、公的性格を帯びた団体であり、その長たる政党代表者は、自身の言動に公的な責任を負うものと考えるが、政府の見解如何。


二 「政府答弁書」では「『各級選挙に立候補することを考えている人間』(以下「公職の候補者等」という。)が借り入れた資金が、当該公職の候補者等の選挙運動に関しなされた収入である場合には、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百八十九条第一項等の規定により、出納責任者(出納責任者に代わってその職務を行う者を含む。)は、当該資金の金額等を選挙運動費用収支報告書に記載し、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)に提出しなければならないものとされているところである」と、各級選挙に立候補する者に科される、公職選挙法上の選挙運動費用収支報告書への選挙費用の記載義務について述べられている。選挙費用として用いた金員を収支報告書に記載しなかった場合、公職選挙法等の法律違反に該当するものと考えて良いか。確認を求める。


三 前文で触れたが、渡辺前代表は、八億という巨額の資金を借り入れておきながら、二〇一〇年の第二十二回参議院議員通常選挙、二〇一二年の第四十六回衆議院議員総選挙に係る費用に使ったものではないと主張し、事実同党の選挙運動費用収支報告書等にもその記載はなされていない。しかし、本年四月七日の辞任記者会見の場では、「党の選挙関係費用や党勢拡大に必要な情報収集などに支出した」とのコメントを出している。選挙関係費用に資金を用いながら、それを収支報告書に記載していないのは、事実関係だけを見ても右答弁にある公職選挙法違反に該当すると考えるが、政府の見解如何。


四 みんなの党の渡辺前代表は、今回の事案に関し、公人としての説明責任を十分に果たしているか。政府の見解如何。


 右質問する。




《答弁》

政党代表が八億円を無利子無担保で借り入れたことに関する質問に対する答弁書


一及び四について


 お尋ねについては、政党の代表者又は政治家個人としての言動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。


二及び三について

 お尋ねについては、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百八十九条第一項等の規定により、出納責任者(出納責任者に代わってその職務を行う者を含む。)は、公職の候補者の選挙運動に関しなされた寄附及びその他の収入並びに支出について選挙運動費用収支報告書に記載し、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)に提出しなければならないものとされているところであるが、当該公職の候補者個人の選挙運動に関しなされたものでない寄附及びその他の収入並びに支出については、記載する義務はない。
 また、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第十二条第一項等の規定により、政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあっては、その職務を行うべき者。以下同じ。)は、当該政治団体に係るその年における収入及び支出並びに資産等について政治資金収支報告書に記載し、同法第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならないものとされているところであるが、政治家個人の政治活動に関する収入及び支出並びに資産等については、政治資金収支報告書を作成する義務はない。
 なお、衆議院(小選挙区選出)議員、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙において公職選挙法第六十二条第一項に規定する候補者届出政党、同法第四十六条第二項に規定する衆議院名簿届出政党等又は同条第三項に規定する参議院名簿届出政党等である政治団体が行う選挙運動については、選挙運動費用収支報告書を作成する義務はないが、当該政治団体の会計責任者は、当該政治団体の政治資金収支報告書において当該選挙運動に関する収入及び支出を記載する必要がある。
 いずれにしても、個別の事案が公職選挙法又は政治資金規正法の規定に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える。