《質問》

『アンネの日記』破損事件に係る政府の説明等に関する再質問主意書


 本年に入り、東京都内の図書館や書店等で『アンネの日記』の書籍が相次いで破損される事件(以下、「破損事件」とする。)が相次いだ。右に絡み、警視庁として捜査本部を設立し、捜査を進めていたところ、本年三月、警視庁捜査一課は建造物侵入及び器物損壊容疑で三十代の無職男を逮捕したと承知する。右と「前回答弁書」(内閣衆質一八六第一〇〇号)を踏まえ、再質問する。


一 「破損事件」に関し、政府は「前回答弁書」において「極めて遺憾であると認識している」と答弁している。政府として、単なる書籍の破損にとどまらない性格を「破損事件」が帯びていることから、右の答弁がなされているものと思料するが、右事件のどのような部分をもって、政府として「極めて遺憾であると認識している」のか、改めて説明されたい。


二 容疑者が逮捕されて以降、警視庁、または政府として、単なる国内的問題の範疇を超えた「破損事件」に関し、政府として国民に明確な説明をしないのはなぜかとの問いに対し、「前回答弁書」では「御指摘の事件については、警視庁において、器物損壊罪等で被疑者を逮捕した際に、当該事件の概要等を発表したと承知している。また、平成二十六年三月十九日の衆議院内閣委員会において、古屋国家公安委員会委員長が当該事件の概要等について答弁をしたところであり、捜査への支障等を勘案した上で、適切に説明を行っている。」との答弁がなされている。「破損事件」に対する政府の説明を広く国民が承知し、理解しているか。国際社会を巻き込んだ事件に関する国民の理解はいまだ十分でなく、そもそも政府の説明も不十分であると考えるが、政府の見解如何。


三 「破損事件」に関し、世界各国からは、我が国において反ユダヤ主義が台頭している、または右傾化が進んでいる等の批判が示されていた。容疑者が逮捕されてから、政府として国際社会に「破損事件」に関してどのような説明を誰がどのような場で行っていたのかとの問いに対し、「前回答弁書」では「平成二十六年三月十四日に、古屋国家公安委員会委員長から駐日イスラエル大使に対し、御指摘の事件の被疑者の逮捕等について連絡をしたところである。また、我が国の在外公館を通じて、警察が当該事件の被疑者を逮捕し、全容解明に向けた捜査を進めていること等について、国際社会に対して説明を行っている。」との答弁がなされている。右答弁にある国際社会への説明に関し、どこにどのような形で誰に対し、説明をいつから行っているのか、詳細に説明されたい。


 右質問する。



《答弁》

『アンネの日記』破損事件に係る政府の説明等に関する再質問に対する答弁書


一について


 アンネ・フランク関連の書籍等が多数破損されるという事件が発生したこと自体について、極めて遺憾であると認識している。


二について 


 先の答弁書(平成二十六年四月八日内閣衆質一八六第一〇〇号。以下「前回答弁書」という。)三についてでお答えしたとおりである。


三について

 政府としては、関係在外公館から、各国の政府関係者、ユダヤ系団体、有識者及び報道関係者に対して前回答弁書四についてで述べたような説明を行っているが、それ以上の詳細について明らかにすることは、先方との今後のやり取りに支障を来すおそれがあることから差し控えたい。