《質問》

いわゆる従軍慰安婦問題にかかる旧日本軍の関与に関する質問主意書


 本年三月二十三日の北海道新聞三十五面に、「慰安所 軍の金で口止め インドネシア 元日本兵、六十二年に証言 法務省資料 連行の実態も」との見出し記事(以下、「道新記事」とする。)が掲載されている。右を踏まえ、質問する。


一 政府として、「道新記事」を承知し、その内容を把握しているか。


二 「道新記事」には、「太平洋戦争中にインドネシアのバリ島に海軍兵曹長として駐屯していた男性が、一九六二年の法務省の調査に『終戦後(慰安所を戦争犯罪の対象に問われないよう)軍から資金をもらい、住民の懐柔工作をした』と供述していたことが分かった」、「元曹長は『(慰安婦として)現地人など約七十人を連れてきた』、『他にも約二百人を部隊の命で連れ込んだ』などと連行の実態も説明していた」との記述がある。右記述にある元海軍兵曹長とは誰か、政府として把握しているか。


三 政府として、二の記述のようなことが、実際に旧日本軍においてなされたのか否かを把握しているか。


四 本年三月十四日の参議院予算委員会において、安倍晋三内閣総理大臣は、従軍慰安婦に関する河野談話を見直すことはしないと言明した。その一方で、菅義偉内閣官房長官は、同談話の検証作業は続けると述べ、更に与党幹部の一人は、検証の結果によっては新たな談話をつくることもある旨述べている。河野談話の見直し云々に言及する以前に、「道新記事」に出ているような従軍慰安婦の実態を政府として再度調査をすることが必要なのではないか。政府の見解如何。


 右質問する。




《答弁》

いわゆる従軍慰安婦問題にかかる旧日本軍の関与に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の記事の内容は承知している。



二及び三について

 個々の新聞記事の内容に関し、お答えすることは差し控えたい。



四について


 いわゆる従軍慰安婦問題の調査については、政府としては、これまで、平成四年七月六日と平成五年八月四日の二度にわたり、その結果を発表し、同日の調査結果の発表は、政府として全力を挙げて誠実に調査した結果を全体的に取りまとめたものであり、一つの区切りをなすものであることから、改めて御指摘のような「調査」を行う考えはない。
 なお、政府の基本的立場は、衆議院議員辻元清美君提出安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問に対する答弁書(平成十九年三月十六日内閣衆質一六六第一一〇号)三の2についてでお答えしたものと同じであり、平成五年八月四日の内閣官房長官談話に関して新たな談話を発表することは考えていない。