《質問》

我が国邦人が北方領土に入域した際の政府の対応等に関する質問主意書



一 一九八九年九月十九日、政府は、当時のソビエト連邦のビザ発給を受ける形で北方四島へ入域することを自粛するよう、邦人に要請する閣議了解(以下、「閣議了解」とする。)を決定している。その一方で、例えば邦人がロシア政府のビザの発給を受けてサハリン州に入域した後、航空機や船舶等の手段で北方四島に渡航することは現実的に可能であると考えるが、政府の見解如何。


二 我が国の法令に、邦人が一の方策等を通じ、ロシア政府のビザ発給を受けて北方四島に渡航することを禁じたものはあるか。


三 仮に邦人が一の方策等を通じ、ロシア政府のビザの発給を受けて北方四島に渡航した際、我が国の法令上、それに対する罰則は設けられているか。


四 「閣議了解」に反し、ロシア政府のビザ発給を受けて邦人が北方四島に渡航した事例は実際にあったと聞くが、政府はその事実を把握しているか。


五 政府が北方四島に渡航した、マスコミ関係者に注意したということを関係者から聞いているが、そのような事実はあったのか。


六 そうした事実があったならば、そのマスコミ関係者がどこの社であったか、明らかにされたい。


七 政府として、「閣議了解」ではなく、ロシアのビザ発給を受けて邦人が北方四島に渡航することを禁じ、違反した際の罰則規定も設けた法令をつくる考えはあるか。


八 日露関係の発展を考えるときに、「閣議了解」の見直しをすべきと考えるが、政府の見解は如何。

 

 右質問する。



《答弁》

我が国邦人が北方領土に入域した際の政府の対応等に関する質問に対する答弁書



一及び四から六までについて

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十五年十月二十九日内閣衆質一八五第一五号)一及び二についてでお答えしたとおりである。



二及び三について

 お尋ねのような法令はない。



七及び八について

 政府としては、あたかも北方四島に対するロシア連邦の管轄権を前提にしたかのごとき形で我が国国民が北方四島に入域することは、北方領土問題に関する我が国の立場とは相容れないと考える。政府としては、御指摘の閣議了解や「我が国国民の北方領土への訪問について」(平成三年十月二十九日閣議了解)等に基づいて、我が国国民の北方領土への入域は、墓参、四島交流及び自由訪問の枠組みの下での訪問のみとし、これら以外の北方領土への入域については、北方領土問題の解決までの間、これを行わないよう、国民の理解と協力を要請してきており、これまで基本的に理解と協力を得られているものと認識している。政府としては、今後とも、これらの閣議了解の周知徹底に努めていく所存である。