《質問》

在コンゴ民主共和国日本国大使館における放火事件に関する第三回質問主意書


昨年六月二十一日、在コンゴ民主共和国日本国大使館において出火騒ぎがあり、その約半年後の十二月二日、同大使館に勤務していた山田真也三等書記官が、建造物等放火罪と、更には業務上横領罪の疑いで逮捕されている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一八六第三七号)を踏まえ、再度質問する。


一 「前回答弁書」で、山田書記官が横領したとされている金額は、二十五万八千六百三十七米ドル及び二十一万六百コンゴフランであることが明らかにされている。右の山田書記官による横領と同様の事件が、過去に外務省職員によって起こされた例はあるか。あるのなら、二〇〇〇年以降のすべての事例につき、横領額を含む詳細を示されたい。


二 外務省として、冨永駐コンゴ民主共和国大使を厳重訓戒とし、帰朝を命じていると承知する。前回質問主意書で、冨永大使に今後退職金は支払われるかと問うたところ、「前回答弁書」では、国家公務員退職手当法に基づき、適切に判断される旨の答弁がなされている。右は、冨永大使が退職する際、退職金が支払われないケースもあり得るということか。


三 前回質問主意書で、冨永大使に今後大使手当は支払われるかと問うたところ、「前回答弁書」では、「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」に基づき支給される旨の答弁がなされている。今回、外務省として冨永大使を厳重訓戒に処した際、同大使への在勤基本手当の減額はなされていないのか。


四 三で、なされていないのなら、それはなぜか。またそれは適切か。


五 前回質問主意書で、本事件に関連し、山田容疑者、冨永大使の二人の他に処分対象者はいるかと問うたところ、在コンゴ民主共和国日本国大使館の出納官吏かつ次席館員であった二木孝大臣官房文化交流・海外広報課人物交流室課長補佐の名が挙げられている。同時に、同大使館において他にも処分者がいることを明らかにしつつも、それらの者の官職氏名については「個人のプライバシーに関わる事柄」として伏せられている。山田書記官の起こした事件は、公金、つまり国民の税金を横領するというものであり、公に関わるものであるのにも関わらず、「プライバシーに関わる」として外務省が答弁を避けるのはなぜか。右答弁は、国民の代表である国会議員の質問に対するものとして適切か。


 右質問する。



《答弁》

在コンゴ民主共和国日本国大使館における放火事件に関する第三回質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「山田書記官による横領と同様の事件が、過去に外務省職員によって起こされた例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、外務省において確認できる範囲では、平成十二年以降に、在外公館において公金を横領したことを理由に同省が在外公館に勤務する同省職員に対して懲戒処分を行った事例は、次のとおりである。
 (一)在パラオ日本国大使館において少なくとも約百五万円相当の公金の横領を含め約百五十万円相当の公金について不適正な経理を行ったことを理由として、平成十三年八月一日付けで同省職員に対して懲戒停職の処分を行った。
 (二)在アトランタ日本国総領事館において約三百十五万円相当の公金を横領したこと等を理由として、平成十四年八月三十日付けで同省職員に対して懲戒免職の処分を行った。
 (三)在ソロモン日本国大使館において約六百万円相当の公金を横領したことを理由として、平成十五年八月八日付けで同省職員に対して懲戒免職の処分を行った。
 (四)在エドモントン日本国総領事館(当時)において約九十九万七千円相当の公金を横領したことを理由として、平成十六年八月十日付けで同省職員に対して懲戒免職の処分を行った。
 (五)在マダガスカル日本国大使館において約三百五十万円相当の経理上の欠損を生じさせ、かつ、在コートジボワール日本国大使館において少なくとも約四十万円相当の公金の横領を含め約千二百四十万円相当の経理上の欠損を生じさせたことを理由として、平成十九年八月三日付けで同省職員に対して懲戒免職の処分を行った。


二について

 冨永純正コンゴ民主共和国駐箚特命全権大使(以下「冨永大使」という。)が国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十二条第一項各号のいずれかに該当するときは、同項の規定に基づき、退職手当の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる。


三及び四について

 在勤基本手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食等の経費に充当するために支給するものであり、冨永大使に対して厳重訓戒処分を行ったことを理由に、冨永大使に支給される同手当の支給額を減ずることは、法令上の根拠がないことから、行っていない。


五について

 外務省として、職員に対する処分の公表に当たっては、「懲戒処分の公表指針について」(平成十五年十一月十日付け総参-七八六人事院事務総長通知)を踏まえ、個人が識別されない内容のものとすることを基本としており、先の答弁書(平成二十六年二月二十五日内閣衆質一八六第三七号。以下「前回答弁書」という。)四についてでお答えした以上の内容を明らかにすることにより、特定の個人が識別されるおそれがあることから、前回答弁書四についてのとおり答弁したものである。