《質問》

タイにおける邦人殺害事件の真相解明に関する質問主意書


 二〇一〇年四月、争乱が続いていたタイにおいて、政府の治安部隊とデモ隊の衝突を取材していた日本人カメラマンの村本博之氏が銃撃を受け、死亡する事件(以下、「村本事件」という。)が起きた。既に発生から四年近くの歳月が過ぎている。右と「政府答弁書」(内閣衆質一七八第五二号)を踏まえ、質問する。


一 「村本事件」に関し、「政府答弁書」では「村本博之氏死亡事件については、政府として、タイ王国(以下「タイ」という。)政府に対して、本年八月八日にインラック・シナワット氏が首相に就任した後も引き続き、早期の真相究明を働きかけてきており、タイ政府は当該事件に関する捜査を現在も継続していると承知している」との答弁がなされている。二〇一一年十月七日、右答弁は閣議決定されているが、それから三年近くの月日が経過した今、「村本事件」の真相に関し、安倍晋三内閣が発足してから、政府として「村本事件」の真相解明をどのようにして求め、タイ政府よりどのような通知がなされてきているのか、時系列に沿って詳細に説明されたい。


二 我が国によるタイへの政府開発援助(ODA)供与に関し、「政府答弁書」では「タイに対する政府開発援助については、村本博之氏死亡事件後においても、現地情勢の安定化の状況及び二国間関係を踏まえ総合的に判断した上で、平成十八年五月に外務省が策定した『対タイ経済協力計画』に基づく取組を、引き続き実施してきている。」とされている。現安倍晋三内閣として、「村本事件」を踏まえ、対タイODAのあり方はどうあるべきと考えているのか説明されたい。


三 安倍内閣は、「村本事件」の真相解明を既にあきらめているのか。


四 三で、あきらめていないのなら、発生から四年もの歳月が過ぎようとしている本年、具体的にどのような実効性のある方策を持って真相解明を目指すのか説明されたい。


 右質問する。



《答弁》

タイにおける邦人殺害事件の真相解明に関する質問に対する答弁書


一、三及び四について

 村本博之氏死亡事件(以下「本事件」という。)については、政府として、タイ王国(以下「タイ」という。)政府に対し、引き続き、徹底した真相究明を行い、その結果を日本側に早急に通知するよう求めるとともに、在タイ日本国大使館を通じ現地当局等からの情報収集に努めてきている。本事件については、これまでに、タイ政府から、裁判所において事実認定のための審理が行われているとの情報提供があり、在タイ日本国大使館員が審理を傍聴してきている。


二について

 タイに対する政府開発援助については、本事件後も、現地情勢の安定化の状況及び二国間関係を踏まえ総合的に判断した上で、外務省が平成二十四年十二月に策定した「対タイ王国国別援助方針」に基づき、戦略的パートナーシップに基づく双方の利益増進及び地域発展への貢献に向けた援助を実施してきている。