《質問》

米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する質問主意書


 沖縄県宜野湾市にある米海兵隊普天間飛行場を名護市辺野古に移設する政府案に反対し、普天間飛行場の県外移設を訴え、二〇一〇年の知事選挙で当選し、再選を果たした沖縄県の仲井真弘多知事が、昨年十二月二十七日、一転して辺野古の埋め立てを承認した。一方で、本年一月十九日、沖縄県名護市長選挙が執行され、反対する現職が二期目再選を果たした。
 右を踏まえ、質問する。


一 仲井真知事・沖縄県側としては辺野古移設を認めた一方で、辺野古が位置する現地の名護市では移設受け入れを拒否する民意が示されている。右の現状につき、政府としてどのような見解を有しているか。


二 名護市長選挙の結果により、辺野古移設受け入れを拒否する地元名護市民の意志が改めて明確に示されたものと考えるが、政府として、あくまで政府案の実施を進める考えでいるのか。


三 名護市長選挙の結果を受けた後も、政府が辺野古移設を断行するのなら、機動隊の出動等、反対住民との物理的な衝突が生じることが懸念されると考えるが、政府の見解如何。


四 琉球処分の定義に対する政府の見解如何。


五 琉球処分、そして第二次世界大戦時に激しい地上戦が行われたこと、更には現在も尚、我が国国土のわずか〇.六%を占めるに過ぎない狭い県土の中に、我が国に駐留する米軍基地の七十四%が集中しているという、沖縄県が経験した歴史的苦難、現在置かれている差別的地位を振り返る時、これ以上沖縄県に過度の負担を課し続けることは不可能であると考えるが、政府の見解如何。


六 政府が辺野古移設を断行することにより、沖縄県が日本国家からの独立志向を高め、我が国の統治に大きな影響が出る懸念はないか。政府の見解如何。


 右質問する。



《答弁》

米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する質問に対する答弁書


一から三まで及び六について


 普天間飛行場は、沖縄県宜野湾市の面積の約二十四パーセントを占めるとともに、同市の中央部で住宅や学校等に密接して位置しており、その危険性を一刻も早く除去することが必要であると考えている。
 同飛行場の移設については、沖縄において様々な意見があることは承知しているが、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であると考えている。
 政府としては、こうした考え方を引き続き誠実に説明し、沖縄の皆様の御理解を得るべく全力で取り組みながら、同飛行場の一日も早い移設・返還を実現し、沖縄の負担を早期に軽減していくよう努力していく考えである。


四について

 


 いわゆる「琉球処分」の意味するところについては、様々な見解があり、確立した定義があるとは政府として承知していないが、一般に、明治初期の琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置の過程を指す言葉として用いられるものと承知している。


五について


 沖縄県に駐留する米国軍隊を含め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき我が国に駐留する米国軍隊(以下「在日米軍」という。)は、その抑止力を通じて我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与している。他方、在日米軍の施設及び区域が同県内に集中している現状は、沖縄の皆様にとって、大きな負担となっているものと認識している。
 政府としては、こうした認識の下、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、これまでの日米合意を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、在沖縄米海兵隊の移転、嘉手納飛行場以南の施設及び区域の返還、KC一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐、垂直離着陸機MV二二オスプレイの訓練の沖縄県外への移転などを着実に実施し、沖縄の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。