《質問》

陸上幕僚監部運用支援・情報部別班(別班)に関する質問主意書



 本年十一月二十七日二十時十六分付インターネット記事の中で、共同通信が以下のように報じている。
 「陸上自衛隊の秘密情報部隊『陸上幕僚監部運用支援・情報部別班』(別班)が、冷戦時代から首相や防衛相(防衛庁長官)に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧などに拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきたことが二十七日、分かった。
 陸上幕僚長経験者、防衛省情報本部長経験者ら複数の関係者が共同通信の取材に証言した。
 自衛隊最高指揮官の首相や防衛相の指揮、監督を受けず、国会のチェックもなく武力組織である自衛隊が海外で活動するのは、文民統制(シビリアンコントロール)を逸脱する。」
 右報道にある「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」(以下、「別班」とする。)を踏まえ、質問する。



一 「別班」に関する共同通信の報道には、陸上幕僚長経験者、防衛省情報本部長経験者らの証言が含まれているが、防衛省として、右の幹部経験者らのうち誰が共同通信の取材に応じ、「別班」について証言していたのかを把握しているか。


二 防衛省として、一の幹部経験者らに接触し、「別班」に関して事情を聴取しているか。


三 二で、していないのなら、その理由は何であるのか説明されたい。


四 「別班」に関し、本年十一月二十八日午前の記者会見で菅義偉内閣官房長官は、「報道にあるような組織はこれまで自衛隊に存在していないし、現在も存在していないと防衛省から聞いている」と、その存在を否定していると承知する。小野寺五典防衛大臣も、同日二十八日午後の参院国家安全保障特別委員会で、「『陸上幕僚監部運用支援・情報部別班』というような組織はこれまで自衛隊には存在していないし、現在も存在していない」と、同じくその存在を否定している。右は、安倍晋三内閣として統一した認識であるか。


五 安倍内閣として、「別班」の存在を指摘した共同通信の報道は虚偽のものであったと認識しているか。


六 五で、「別班」の存在を指摘した共同通信の報道が虚偽のものであったのなら、安倍内閣として共同通信に抗議をしているか。


七 六で、抗議をしているのなら、誰が、いつ、どのような方法でどのような内容の抗議をしたのか説明されたい。


八 六で、抗議をしていないのなら、その理由は何であるのか説明されたい。


九 本年十一月二十八日の参院国家安全保障特別委員会で、小野寺大臣は「別班」に関し、「再度しっかり確認していきたい」と答弁していたと承知するが、小野寺大臣としてどのような確認作業をこれまでに行ったのか、調査対象となった者、調査にあたったものの官職氏名、調査がなされた日にち、場所、その方法につき、明らかにされたい。


十 九の調査結果は記録に残されているか。残されているのなら、それは現在、政府部内のどこに、誰の責任の下管理されているのか明らかにされたい。


十一 九の調査結果が記録に残されていないのなら、その理由は何であるのか説明されたい。


十二 本年十一月二十九日、防衛省の辰己昌良報道官が記者会見で、「別班」に関して「これ以上、今の段階で調査をやる状況ではない」と述べたと承知している。右の辰己報道官の発言は、小野寺大臣の意向を受けてのものか。


十三 防衛省として、今後「別班」に関する調査を行う考えはあるか。


十四 共同通信としては、陸上幕僚長経験者、防衛省情報本部長経験者に直接取材をし、確認をとった上での報道だと承知しているが、それでも今回の報道に対し、小野寺大臣は、報道を虚偽だと考えるのか。


 右質問する。




《答弁》

陸上幕僚監部運用支援・情報部別班(別班)に関する質問に対する答弁書



一から十四までについて


 政府として、個々の報道について答弁することは差し控えたいが、御指摘の報道にあるような「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」なる組織については、防衛大臣が、御指摘の答弁を行う前に、陸上幕僚長から口頭で報告を受け、さらに、御指摘の答弁の後にも、陸上幕僚長に陸上幕僚監部運用支援・情報部長等への聞き取りを行わせてその内容を口頭で報告させたところ、これまで自衛隊に存在したことはなく、現在も存在していないことが確認されており、現時点においてこれ以上の調査を行うことは考えていない。