《質問》

安倍晋三内閣における外務省在外職員の住居手当に係る改革に関する質問主意書



平成十七年十月十八日の政府答弁書(内閣衆質一六三第一〇号)では、外務省在外職員が住居を構える際の要件に、

①自宅に客を招き会食する等外交活動の拠点となること
②比較的テロ等の対象になりやすい在外職員及びその家族の生命、身体等が危険にさらされることのないよう治安及び安全上の問題が少ない地域に位置していること
③緊急事態の際に在外公館の事務所や在外公館長の公邸に直ちに駆けつけることができる場所に位置していること
 の3点が挙げられている。右の趣旨に則り、同省在外職員には住居手当が支給されていると承知する。
 


 右を踏まえ、質問する。



一 住居手当について、鈴木宗男元衆議院議員が提出した質問主意書に対する政府答弁書(内閣衆質一七三第一〇号)では「御指摘の住居手当を含む在勤手当に関しては、岡田外務大臣の指示に基づき外務省内に武正外務副大臣と吉良外務大臣政務官をメンバーとする『在勤手当プロジェクトチーム』を立ち上げ、第一回会合を本年十月二十七日に開催した。今後一か月を目途に在勤手当の検証を進める予定であり、その結果も踏まえて今後、住居手当を含む在勤手当の在り方に対する検討を行ってまいりたい。」との答弁がなされている。現安倍内閣においても、右のプロジェクトチームの考えは踏襲されているか。


二 平成十六年度から二十五年度までの住居手当の予算額はいくらか、またそれぞれ同年度においてその支給対象となる外務省在外勤務職員の人数でその予算額を除するといくらになるか明らかにされたい。


三 住居手当の意義、必要性に関し、安倍内閣としてどのような見解を有しているか。


四 住居手当は、三の意義、必要性に実際に資する形で外務省在外職員に使われているか。安倍内閣の見解如何。


五 昨年十二月に発足した安倍晋三内閣として、住居手当のあり方につき、これまでに何らかの検証作業を行ってきているか。


六 住居手当は課税の対象外であるが、それは適切か。安倍内閣の見解如何。


七 住居手当を支給されている外務省在外勤務職員は、実際に客を自宅に招いて会食する等の活動を

行っているか否か、その実態を報告する義務は課されていないと承知する。前自民・公明政権下でも、二〇〇九年に政権交代が実現した後の民主党政権下でも、右については否定的な答弁がなされていた。右につき、現安倍内閣としてどのような認識を有しているか。


八 二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災により、我が国に未曾有の被害が生じ、数多くの尊い命が失われ、今尚多くの方々が不便な生活を強いられている。前民主党政権では、今後十年のうちに約二十三兆円の予算規模をもって被災地を含む日本全体の復旧復興に当たる方針が打ち出され、また復興財源の原資として、所得、法人、贈与税等の増税もなされた。更に、来年四月から消費税が現行の五%から八%に引き上げられることも決定し、国民生活は更なる負担増を強いられることになる。右の状況に鑑み、住居手当に関しても、支給を受けている職員に、同手当の趣旨に合う活動をどれほどしているかの報告を義務付ける、またはせめて住居にかかっている費用を実費で支給する形に変える等の改革が求められると考えるが、安倍内閣の見解を示されたい。



  右質問する。




《答弁》

安倍晋三内閣における外務省在外職員の住居手当に係る改革に関する質問に対する答弁書



一、三から五まで及び八について


 在外職員が在外公館において勤務するのに必要な住宅費に充当するために支給される手当である住居手当については、職員に対する研修や在外公館長への指示によりその趣旨の徹底を図ってきており、適切に使用されているものと認識している。
 また、当該手当については、「在勤手当プロジェクトチーム」での検証結果を踏まえつつ、在勤手当の支給水準の客観性を向上させるため、外務人事審議会による勧告を踏まえて、その意義や必要性に照らして、必要とされる経費について十分に精査を行い、適正な額を定めてきており、厳しい財政状況に鑑み、今後とも適正な額となるよう努めていく考えである。



二について


 住居手当の予算額は、平成十六年度が八十四億千四百六十八万二千円、平成十七年度が八十一億四千六百四十九万二千円、平成十八年度が八十五億千二十万八千円、平成十九年度が九十億千四百四十二万円、平成二十年度が九十五億七百三万千円、平成二十一年度が九十億八十九万五千円、平成二十二年度が八十一億七千四百四十一万六千円、平成二十三年度が七十七億二千九百四十六万九千円、平成二十四年度が六十九億九千八百六十六万千円及び平成二十五年度が六十八億三千五百七万四千円である。
 また、各年度における当該手当の予算額をその支給対象となる在外職員の人数で除した金額については、詳細な調査を要するため、お答えすることは困難であるが、各年度における当該手当の予算額を在外職員の人数(当該年度の在外公館の職員定員から在外研修員等の定員を除いた人数)で除した場合の一人当たり月額は、平成十六年度が約二十三万九千円、平成十七年度が約二十三万千円、平成十八年度が約二十四万千円、平成十九年度が約二十五万千円、平成二十年度が約二十五万七千円、平成二十一年度が約二十三万六千円、平成二十二年度が約二十一万三千円、平成二十三年度が約二十万千円、平成二十四年度が約十八万四千円及び平成二十五年度が約十八万二千円である。


六について


 在勤手当は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第九条第一項第七号の規定により、課税の対象とならない。そのような取扱いは法令の規定に従ったものであり、妥当なものであると考える。


七について


 個々の在外職員の外交活動については様々な形があり、相手方との関係や個人のプライバシーの観点からも、お尋ねのような報告を課すことは考えていない。