《質問》

安倍晋三内閣における在勤基本手当に係る改革に関する質問主意書



 外務省在外職員に支給される在勤手当について、その予算額は、平成十六年度から二十三年度まででそれぞれ次のようになっていると承知する。
 平成十六年度 百四十六億二千五百十万三千円
 平成十七年度 百四十七億三千五百五万千円
 平成十八年度 百五十三億二千五百五十四万千円
 平成十九年度 百五十八億九千二百七十万六千円
 平成二十年度 百七十八億二千九百三十四万六千円
 平成二十一年度 百七十六億千七百七十三万八千円
 平成二十二年度 百六十二億四千七百七十八万円
 平成二十三年度 百六十二億七千八百二十七万五千円
 

 右を踏まえ、質問する。



一 平成二十四年、二十五年度の在勤基本手当の予算額並びに、それらを含め、前文で触れた平成十六年度からの在勤基本手当の予算額を、それぞれ同年度の外務省在外勤務職員の人数で除するといくらになるか明らかにされたい。



二 在勤基本手当について、鈴木宗男元衆議院議員が提出した質問主意書に対する過去の政府答弁書(内閣衆質一七三第九号)で「御指摘の在勤基本手当を含む在勤手当に関しては、岡田外務大臣の指示に基づき外務省内に武正外務副大臣と吉良外務大臣政務官をメンバーとする『在勤手当プロジェクトチーム』を立ち上げ、第一回会合を本年十月二十七日に開催した。今後一か月を目途に在勤手当の検証を進める予定であり、その結果も踏まえて今後、在勤基本手当を含む在勤手当の在り方に対する検討を行ってまいりたい。」とされているように、二〇〇九年九月に発足した鳩山由紀夫内閣では、在勤基本手当の検証がなされた。昨年十二月に発足した安倍晋三内閣においても、右のプロジェクトチームの考えは踏襲されているか。



三 安倍内閣として、在勤基本手当のあり方につき、何らかの検証作業を行っているか。



四 在勤基本手当は課税の対象外であるが、それは適切か。安倍内閣の見解如何。



五 在勤基本手当を支給される職員には精算することも具体的な使途を報告することも義務付けられていないため、例えば同省職員が、在勤基本手当を外交活動の為に使わず、個人的な買い物や蓄財に回したとしても、国民としてはそれを知る術もないが、右は適切か。安倍内閣の見解如何。



六 かつて、在スイス公使を務めた外務省職員が、『女ひとり家四軒持つ中毒記』という著書を出したことがあると承知するが、安倍内閣として、右を把握しているか。



七 六の著書で、国内外に自宅を四軒購入したことを著書で誇らしげに書いている職員がいるように、在勤基本手当が、我が国の国益のためではなく、同省職員の単なる個人的消費に回されている例もあるのではないか。安倍内閣の見解如何。



八 本年十月一日、安倍晋三内閣総理大臣は、二〇一四年四月より、消費税率を現行の五%から八%まで引き上げることを決定した旨発表している。それにより、国民生活はどれだけの負担増を強いられることになるのか、簡略に説明されたい。



九 安倍内閣として、来年四月からの消費増税実施を決定する一方で、税金の無駄使いの削減等、行財政改革にはどのような取り組みをしているのか説明されたい。



十 二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災により、我が国に未曾有の被害が生じ、数多くの尊い命が失われ、今尚多くの方々が不便な生活を強いられている。前民主党政権では、今後十年のうちに約二十三兆円の予算規模をもって被災地を含む日本全体の復旧復興に当たる方針が打ち出され、また復興財源の原資として、所得、法人、贈与税等の増税もなされた。そのような中、一人当たり四百万円以上の手当てが本俸とは別に外務省職員に支給されることは、国民の理解を到底得られるものではなく、大胆かつ抜本的な改革が求められると考える。安倍内閣として、同手当をどのように変え、来年度予算において具体的にそれをどう反映させていく考えでいるのか、見解を述べられたい。



 右質問する。




《答弁》

安倍晋三内閣における在勤基本手当に係る改革に関する質問に対する答弁書



一について


 在勤基本手当の予算額は、平成二十四年度が百五十七億二千七百二十九万三千円及び平成二十五年度が百五十五億千三百八十万六千円である。
 また、各年度における当該手当の予算額をその支給対象となる在外職員の人数で除した金額については、詳細な調査を要するため、お答えすることは困難であるが、各年度における当該手当の予算額を在外職員の人数(当該年度の在外公館の職員定員から在外研修員等の定員を除いた人数)で除した場合の一人当たり月額は、平成十六年度が約三十九万千円、平成十七年度が約三十九万三千円、平成十八年度が約四十万七千円、平成十九年度が約四十一万六千円、平成二十年度が約四十五万三千円、平成二十一年度が約四十三万五千円、平成二十二年度が約三十九万八千円、平成二十三年度が約三十九万七千円、平成二十四年度が約三十八万八千円及び平成二十五年度が約三十八万八千円である。



二、三及び十について


 在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食等の経費に充当するために支給される手当である在勤基本手当については、「在勤手当プロジェクトチーム」での検証結果を踏まえつつ、在勤手当の支給水準の客観性を向上させるため、外務人事審議会による勧告を踏まえて、その意義や必要性に照らして、必要とされる経費について十分に精査を行い、適正な額を定めてきており、厳しい財政状況に鑑み、今後とも適正な額となるよう努めていく考えである。



四について


 在勤手当は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第九条第一項第七号の規定により、課税の対象とならない。そのような取扱いは法令の規定に従ったものであり、妥当なものであると考える。



五及び七について


 個々の職員の消費、貯蓄等の状況について把握しておらず、その状況についてお答えすることは困難であるが、在勤手当は、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和二十七年法律第九十三号)に基づき、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な経費に充当するために支給される手当として、在外公館の所在地における物価、為替相場、生活水準等を勘案して、適正に定められているものと認識している。



六について


 政府として、御指摘の著書が出版された事実については承知している。



八について


 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十九号)の規定による消費税率(国・地方)の引上げは、社会保障と税の一体改革の一環として、社会保障の安定財源確保と財政健全化を同時に達成することを目指す観点から行われるものであり、消費税率(国・地方)が引き上げられた場合において増加する消費税の収入及び地方消費税の収入の合計額は全て社会保障の充実・安定化に向けられ、国民に還元される。社会保障の充実・安定化に向けた社会保障制度改革の措置内容については、平成二十五年十二月五日に成立した持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律にのっとって、今後、具体化を進めて行くことになる。また、「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成二十五年十月一日閣議決定。以下「閣議決定」という。)において、消費税率(国・地方)の八パーセントへの引上げの確認と同時に策定した「経済政策パッケージ」では、個人の負担軽減策として、簡素な給付措置、住宅ローン減税の拡充措置などを盛り込んでおり、国民生活にも十分に配慮している。お尋ねの「負担増」の趣旨は必ずしも明らかではないが、消費税率(国・地方)の引上げの国民生活への影響については、負担面に加えてこのような受益面も併せて総合的に検討すべきであることから、「負担増」が「どれだけ」かについて、一概にお答えすることは困難である。



九について


 安倍内閣としては、閣議決定において、「各分野の歳出において無駄があったり、優先順位の低いものに予算措置が行われているといった批判を招くことがないよう、政府全体として取り組む」こととしており、行政改革推進会議における議論を踏まえ、無駄の撲滅、特別会計改革及び独立行政法人改革を中心に取り組んでいるところである。