《質問》

いわゆる特定秘密保護法案に関する質問主意書



 本年十一月二十六日、「特定秘密の保護に関する法律案」、いわゆる特定秘密保護法案が衆議院で可決した。右を踏まえ、質問する。



一 特定秘密保護法案の中で規定されている秘密の定義につき、改めて説明されたい。


二 現時点で、一の秘密に該当する案件はどれだけあるか明らかにされたい。


三 一の秘密は、誰の決裁によって決定されるのか明らかにされたい。


四 特定秘密保護法案は、公務員が一の秘密を洩らした際の罰則を設けることが主たる趣旨であると承知するが、同法案で規定される公務員の定義につき、説明されたい。


五 特定秘密保護法案における公務員には、大臣、副大臣、大臣政務官の政務三役も当然含まれると考えるが、確認を求める。


六 特定秘密保護法案において、秘密を扱うのに適しているか否かを調べる基準として「適正評価」という概念が盛り込まれていると承知する。右の適正評価には、飲酒の節度や借金の状況等、プライベートに関わる内容も含まれているとのことであるが、その内容を改めて説明されたい。


七 適正評価は、誰によって行われ、誰の決裁によって、ある公務員が該当するか否かが決められるのか説明されたい。


八 政務三役にも、秘密を扱うのに適しているか否かを調べる基準として、適正評価が適用されるのか。されるのなら、それは誰の責任で決められ、その結果は誰によりどのような方法を持って当該政務三役に通知されるのか。それぞれ詳細に説明されたい。


九 八で、適正評価の結果一の秘密を扱うのに適していないとされた政務三役には、一の秘密は提供されないものと理解して良いか。


十 九に関連し、例外措置として、適正評価の結果一の秘密を扱うのに適していないとされた政務三役にも、一の秘密が提供されることはあり得るか。あり得るのなら、それはどのような場合によってか。


十一 特定秘密保護法案は、一の秘密等国家の重要機密を政治家から隔離し、官僚による機密情報の独占をもたらすものとなるのではないか。


十二 一の秘密とそれ以外の秘密は、法的にどのような区分がなされるのか。


十三 十二の秘密の漏えいを防ぐための法的手段には、どのようなものがあるか。


 右質問する。



《答弁》

いわゆる特定秘密保護法案に関する質問に対する答弁書



一から三までについて


 平成二十五年十一月二十六日に衆議院で修正の上可決された特定秘密の保護に関する法律案(以下「本法案」という。)において、特定秘密とは、本法案第二条に規定する行政機関(以下単に「行政機関」という。)の所掌事務に係る本法案別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)として、本法案第三条第一項に規定する行政機関の長(以下単に「行政機関の長」という。)が指定したものをいう。
 対象となる情報が特定秘密に該当するかどうかの判断は、行政機関の長が個別具体的な状況に即して行うものであり、お尋ねの「現時点で」、「該当する案件はどれだけあるか」についてお答えすることは困難である。




四及び五について


 お尋ねの「公務員」の語句は用いていないが、御指摘の「公務員が一.の秘密を洩らした際の罰則」である本法案第二十三条第一項にいう特定秘密の取扱いの業務に従事する者には、お尋ねの「大臣、副大臣、大臣政務官」も、該当し得る。



六及び七について


 適性評価は、適性評価の対象となる者について、本法案第十二条第二項各号に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものである。
 お尋ねの「ある公務員が該当するか否か」の判断は、その者の所属に応じて、行政機関の長又は警視総監若しくは道府県警察本部長が行う。



八から十一までについて


 本法案第十一条ただし書に規定されているとおり、国務大臣、副大臣及び大臣政務官については、適性評価を受けることなく、特定秘密の取扱いの業務を行うことができる。したがって、「国家の重要機密を政治家から隔離し、官僚による機密情報の独占をもたらす」との御指摘は当たらない。



十二及び十三について


 お尋ねの「それ以外の秘密」の意味するところが必ずしも明らかではないが、特定秘密以外の公務員が職務上知ることのできた秘密については、これまでと同様に、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)等により規律され、その漏えいについては罰則の適用もある。