《質問》

外務省による竹島と尖閣諸島に係る動画配信の是非等に関する第三回質問主意書



 本年十月十六日より、外務省において竹島と尖閣諸島に係る動画(以下、「動画」とする。)を、外務省HPやユーチューブで配信することを始めている。
 我が国が抱える領土問題については、「前々回答弁書」(内閣衆質一八五第四五号)では「我が国が抱える領土問題には、北方四島及び竹島をめぐる問題が存在する。」と、北方領土と竹島の二つを挙げ、また尖閣諸島については、「尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」とされている。
 右と「前回答弁書」(内閣衆質一八五第六八号)を踏まえ、再度質問する。



一 「動画」の内容に、我が国が抱える領土問題のひとつである北方領土に関するものがなく、その反面、そもそも領土問題ではない尖閣諸島に関するものが含まれている理由について、「前回答弁書」では「御指摘のような動画は、政府として、我が国の領土に関する立場について、国内外で正しい理解を更に深めていただくことを目的として、様々な要素を適切に検討した上、作成している」との答弁がなされている。右の「様々な要素」とは具体的にどのようなものか説明されたい。


二 尖閣諸島に関して政府は、前文で触れたように、「尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」というスタンスを有している。右の我が国の見解は、国内外で正しく理解されているか。政府の見解如何。


三 尖閣諸島に関しては、残念ながら、その領有権を巡る問題が日中間で存在しているという認識が、広く国内外に広まってしまっているのではないか。政府の見解如何。


四 「前回答弁書」では、政府が今回作成・配信した「動画」に、一カ月の間で百四万八千四百三十四件のアクセスがあったことが明らかにされているが、右のアクセス数は十分なものか、それとも政府が当初想定したものより少ないのか。政府の認識を示されたい。


五 政府が今回作成・配信した「動画」が、「前回答弁書」にあるように一カ月の間で百四万あまりものアクセスに付されたことにより、三で述べた認識を更に国内外に広めることになってしまったのではないのか。政府の見解如何。


六 政府が「動画」を作成し、配信して以降、中国側よりどのような意見表明がなされ、またそれに対し、政府としてどのように答えているのか、詳細に明らかにされたい。


七 前回質問主意書で、昨年十二月、第二次安倍晋三内閣が発足して以来、我が国と中国との間で、尖閣諸島に関し、何らかの会談、協議はなされているか、政府として同諸島の領有権を巡る問題はそもそも存在しないということを、中国側にいつ、どのようにして伝えてきているのかと問うたところ、「前回答弁書」では「日中の外交当局間においては、尖閣諸島をめぐる状況も含めて、様々な課題について、様々なレベルにおいて意思疎通を行ってきている。」との答弁がなされている。右の「尖閣諸島をめぐる状況」は、現時点でどうなっていると政府は認識しているか。


八 「尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」という、尖閣諸島に関する我が国の認識について、中国側と十分な意思疎通はできているか。


九 政府として、北方領土問題に関しても、今後「動画」同様のものを作成する考えはあるか。


十 九で、あるのならそれはいつまでに配信・公開をする予定であるのか、またないのなら、その理由は何か明らかにされたい。


  右質問する。



《答弁》

外務省による竹島と尖閣諸島に係る動画配信の是非等に関する第三回質問に対する答弁書



一及び四について


お尋ねについて明らかにすることは、今後の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ等があるため、差し控えたい。



二及び三について


尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。また、尖閣諸島に関する中国独自の主張は、国際法上、領有権の主張を裏付ける有効な論拠を欠くと考えている。政府としては、このような我が国の一貫した立場に関し、国内外で正しい理解を得るべく、対外発信を強化しているほか、様々な機会を捉え外交ルートを通じた働きかけを行っており、今後とも努力していく考えである。



五について


御指摘の「動画」は、政府として、我が国の領土に関する立場について、国内外で正しい理解を更に深めていただくことを目的として作成したものであり、御指摘は当たらないと考える。



六及び八について


外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、中国との関係もあり差し控えたいが、日中の外交当局間においては、尖閣諸島をめぐる状況も含めて、様々な課題について、様々なレベルにおいて意思疎通を行ってきている。



七について


尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、尖閣諸島周辺において、中国公船による領海侵入が繰り返されていることも含め、中国が尖閣諸島に関する独自の主張に基づく言動を行っていることは全く受け入れられない。かかる我が国の一貫した立場については外交ルートを通じて、中国政府に対して明確に伝えているところである。



九及び十について


お尋ねについては、現在、準備中である。