《質問》

竹島問題解決に向けた政府部内の整備に対する安倍晋三内閣の取り組み等に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一八五第六四号)を踏まえ、再質問する。



一 北方領土問題に関しては、北方対策担当大臣という担当大臣があり、政府部内においても北方対策本部という専門部署が設定されている。一方で竹島に関しては、右大臣、部署と同趣旨の、竹島問題を担当する大臣、専門的に扱う部署はなかった。北方領土と竹島、我が国固有の領土である二つの領土に対する政府部内の態勢がかくも異なってきたのはなぜかという問いに対し、「前回答弁書」では「それぞれの領土問題をめぐる経緯及び状況等が異なる」との答弁がなされている。同じく固有の領土でありながら、政府部内の担当部署、担当大臣の設置等、政府の対応に差異が生じてしまう、北方領土と竹島をめぐる経緯及び状況は、それぞれどのように異なっているのか、安倍晋三内閣の考えを明確に示されたい。



二 本年二月五日、内閣官房に「領土・主権対策企画調整室」(以下、「調整室」とする。)という部署が新たに設けられた。右につき、「前回答弁書」では、「領土・主権対策企画調整室は、我が国の領土・主権に関する国民世論の啓発等に係る企画及び立案並びに総合調整を行うために設置したものである。」との説明がなされている。「我が国の領土・主権」に関して、国民世論の啓発等を図る必要があるものに何があるか、安倍内閣の認識を説明されたい。



三 「前回答弁書」では、「調整室」が具体的にどのような職務を果たし、我が国の国益にどのように貢献してきているのかについて、「これまで、海洋政策・領土問題担当大臣の下に開催する『領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会』の庶務を処理するとともに、当該懇談会の報告書(平成二十五年七月二日)を踏まえ、関係府省との連携の下、領土・主権に関する我が国の立場及び考え方についての国内外における正確な理解の浸透に資する取組を進めてきたところである。」との説明がなされている。右の報告書(以下、「報告書」とする。)を受け、これまで安倍内閣として具体的に何か新たな取り組みを進めてきているか。



四 「報告書」は、我が国の主権に関し、一貫性のある言葉で海外に広く効果的な広報をし、我が国の立場を周知することの重要性などが説かれていると承知する。言うまでもなく、我が国の主権を守るのは政府の役割であること、更には「報告書」にあるように一貫性のある対応が必要であることに鑑みる時、やはり政府部内に北方領土と同様に、竹島について担当部署、担当大臣を設置することが必要であると考える。右につき、二〇〇六年九月二十六日に発足した第一次安倍内閣、昨年十二月二十六日に発足した第二次安倍内閣において、これまで具体的に検討がなされたことはあるか。



五 「前回答弁書」では、「現在、お尋ねの大臣、部署は置かれていないが、政府としては、引き続き、竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で、有効な方策を不断に検討していく考えである。」との答弁がなされているが、竹島問題を担当する大臣、政府部署を設置することは、右の「竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で、有効な方策」に該当するか。安倍内閣の認識を明確に示されたい。


 右質問する。




《答弁》

竹島問題解決に向けた政府部内の整備に対する安倍晋三内閣の取り組み等に関する再質問に対する答弁書



一について


 政府として、北方領土問題及び竹島問題の経緯及び状況等について両者を比較し、両者にどのような違いがあるかについての認識を明らかにすることは、それぞれの問題の相手国との今後の外交上のやり取りに支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。


二及び三について


 政府としては、御指摘の「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」の報告書(平成二十五年七月二日)を踏まえ、竹島及び尖閣諸島に関する特別世論調査を実施し、これを通じて竹島問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に係る我が国の立場及び考え方について国内外に正確な理解が浸透するよう取組を進めてきたところである。



四及び五について


 政府としては、竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で有効な方策を不断に検討しているが、御指摘のような方策に関し、過去の検討状況も含めその内容を具体的に明らかにすることについては、同問題への今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。