《質問》



刑事施設における精神医療に関する質問主意書



 触法精神障害者の治療及び社会復帰のためには、刑事施設で精神医療に従事する専門家及び職員の確保等刑事施設における精神医療体制の充実が望まれることを踏まえ、以下のとおり質問する。


一 全国にある刑事施設における常勤精神科医の定員と、現在常勤精神科医がいる刑事施設の名称及びそれぞれの刑事施設における常勤精神科医の人数を明らかにされたい。また、各刑事施設における常勤精神科医の充足率、不足している場合の対策についての政府の見解は如何に。


二 全国にある刑事施設における精神科医以外の常勤精神医療専門家の名称及び定員と、現在それらの常勤精神医療専門家がいる刑事施設の名称及びそれぞれの刑事施設におけるそれらの常勤精神医療専門家の人数を明らかにされたい。また、各刑事施設におけるそれらの常勤精神医療専門家の充足率、不足している場合の対策についての政府の見解は如何に。


三 全国にある刑事施設で現在勤務する常勤精神科医のうち、精神保健福祉法による精神保健指定医に指定された医師がいる刑事施設の名称及び人数を明らかにされたい。また、その人数の多少についての政府の見解は如何に。


四 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第五十六条は、「刑事施設においては、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする」と規定しているが、ここに言う「適切な保健衛生上及び医療上の措置」は「社会一般の保健衛生及び医療の水準」と同等のものと解すべきと考えるが、政府の見解は如何に。また、現在全国の刑事施設において実施されている精神医療は、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし、より充実させるべきと考えるが、政府の見解及び今後の具体的対策を明らかにされたい。


 右質問する。



《答弁》



刑事施設における精神医療に関する質問に対する答弁書



一について


 平成二十五年四月一日現在、刑事施設に勤務し、医療業務に従事する医師である常勤の職員について、その専門診療科目ごとの定員を定めてはおらず、お尋ねの「充足率」をお示しすることはできないが、①このような職員のうち精神科又は精神神経科を専門診療科目とするもの(以下「常勤精神科医師」という。)が所属する刑事施設の名称及び②当該刑事施設に所属する常勤精神科医師の人数は、以下のとおりである。



 ①札幌刑務所 ②一人

 ①宮城刑務所 ②一人

 ①秋田刑務所 ②一人

 ①福島刑務支所 ②一人

 ①千葉刑務所 ②一人

 ①八王子医療刑務所 ②三人

 ①府中刑務所 ②一人

 ①横浜刑務所 ②一人

 ①川越少年刑務所 ②一人

 ①東京拘置所 ②二人

 ①岡崎医療刑務所 ②二人

 ①京都刑務所 ②一人

 ①大阪医療刑務所 ②三人

 ①神戸刑務所 ②一人

 ①播磨社会復帰促進センター ②一人

 ①北九州医療刑務所 ②四人

 ①福岡刑務所 ②一人



 常勤精神科医師が所属していない刑事施設においては、必要に応じ、刑事施設に勤務し、医療業務に従事する医師である非常勤の職員又は刑事施設の長が必要に応じて嘱託した職員でない医師によって精神科等の診療を行うなどしているところである。


二について


 お尋ねの「精神科医以外の常勤精神医療専門家」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。


三について


 常勤精神科医師のうち精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第十八条第一項の精神保健指定医に指定された医師が所属する刑事施設の名称及びその人数については把握しておらず、お答えすることは困難である。


四について


 刑事施設においては、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずべきものと考えている。精神医療についても、必要な医師の確保等適切な体制の充実に努めてまいりたい。