【より良く生きるための道しるべ】
こちらでは、わたしが読者の方から頂いたお悩みにお答えしていきます。
仕事・プライベートにかかわらずみなさんの悩みが少しでも解消され、
より良い人生につながることを願って綴っていきます。
今回はこのようなご相談でした。
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●第1回●
【ご質問】
実家で飼っていた犬が死んでしまい、何もやる気がでません。
とにかく悲しく、仕事にもやる気が出ません。
どのように受け止めればよいか、何かアドバイスをいただけませんか。
(20代女性の方)
【答え】
とても悲しい出来事ですね。わたし自身も、
昨年、17年間わたしたちに寄り添ってくれていた愛犬が虹の橋をわたりました。
とても哀しく、寂しく、心にぽっかりと穴があいた感覚は今も忘れられません。
ご相談者様の、そのお気持ちが、いたいほど分かります。。
少しでも参考になればうれしいです。
一つ言えることは、今はとてもお辛いとおもいますが、
時と共にその辛さも少しずつ和らいでくるものです。
辛い時はそれが永遠に続くかのように錯覚しますが、
以前ご自身が辛いことがあった時のことを思い出してもらえば、
しばらくすると和らいでいったことを思い出していただけるはずです。
だから今はこの悲しみと向き合い、あとは時に委ねるのもいいのではないでしょうか。
ただ、辛い気持ちがずっと続くようでしたら、
気分を転換することを心がけるといいと思います。
大きな不幸から立ち直る力を「レジリエンス」と言いますが、
心理学が勧めるレジリエンス、つまり心をリセットする方法は、
例えば、自分が好きな音楽を聴いたり、心が明るくなる映画を観たり
野外・自然の中に行ってみる、深呼吸を生活の中に取り入れるなどがあります。
環境や日々の行動を少し変えてみることで、
意識を辛い気持ちから別のものにそらして、
そこから離れる時間をつくり、忘れてみるようにするのです。
自分なりのリセット法を見つけてみてください。
また、心が落ち着いている人と話しをすることで、
辛い感情が和らいだり、理性的、合理的な考えができるようになる場合もあります。
気持ちを言葉で表現し、誰かと会話をするということで、
脳の中で、理性を司る大脳新皮質を活性化させるといわれています。
逆に言葉で表現せず、自分の心の中に感情をため込んでしまっている状態は、
脳の中の情緒を司る大脳辺縁系が活動している状態となるそうです。
話しているうちに心が落ち着く...といったことが皆さん経験があると思いますが、
まさにこのためと言われています。
一方で、他人に話すことで、相手に迷惑をかけるのではないかと感じる場合は
どうすればいいのでしょうか。
その場合は、日記を書くことをお勧めします。
言葉に出すかわりに、言葉を書き出すということに、似た効果があるのです。
つらい気持ちを書いた後、その後に、その辛い気持ちを感じている自分に対して、
前向きになるような助言するようなつもりで、言葉を書き加えることができれば、
更に心の整理ができるようになります。
また、立ち直りが早い人は、多様な考え方ができる人だと言われています。
たとえば、不幸の裏側やその先には、必ず幸福が訪れるはずであると考えていたり、
不幸の経験は、自分の精神的な成長のためになるはず、、、といった考え方です。
一般論ですが、何かを失うことは、何かを得ることとセットです。
別れることは、新たな出会いの可能性に繋がっています。
あなたが経験したことは、決して不幸ではなく、
この世でペットを飼う多くの人が必ず経験する悲しみや苦しみを経験したことになります。
言いかえれば、人の悲しみや苦しみを知る経験であり、
これから先の人生において、自分と同じ境遇にある人の気持ちを心の深いところで理解し、
自分の経験に基づいて、悲しみや苦しみを乗り越えるためのアドバイスができるようになるのです。
このような経験を繰り返しながら、人は苦しみの経験の数だけ、
他人に優しくなれるのではないでしょうか。
そのような意味で、悲しみや苦しみの体験は、尊い体験でもあり、
あなたの人間としての幅や深みが増すきっかけにもなっていくはずです。
あなたが愛した犬は、あなたに懐き、あなたを誰よりも頼りにしていたことでしょう。
そしてあなた自身も、気づかぬうちに、愛犬との絆を通して、
自分自身の存在意義を感じていたのだと思います。
これが愛着の心理の構造です。
そのように考えると、今、辛いと感じていることには、
愛犬を失ったことで、自分自身を失ってしまったように感じている...
そのような心理があるのではないでしょうか。
しかし先ほど述べたように、
私たちはその辛い経験から多くを学びます。
生と死を通して、愛犬が教えてくれたことと向き合ってみてください。
愛犬が一番心休まるのは、きっとあなたの笑顔のはずです。
少しずつ、前を向いて前に進んでいきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
今日という一日を、大切に…
素敵な一日をお過ごしください。
ウェルビーイング・アカデミア 杉村貴子
