『舞台の魅力って突き詰めると創造性』from ガラスの仮面 他 | 仕事とマンガと心理学

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心理カウンセラーが語るマンガと小説についてのブログです。
心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

今日は、マンガに出てくる「舞台」のお話をば。

 

実はマンガには数々の舞台が登場するものがあって

ダンスだったら、前に読んだのは「ダンシング・ゼネレーション」(槇村さとる)が

面白かったなあ。

 

音楽なら、のだめとか、ピアノの森とか

あ、「プライド」なんていうのもありましたね。

 

演劇ものだったら、

「花よりも花の如く」(成田美名子)

そして、絶対に外せませんね、「ガラスの仮面」。

 

 

「花よりも花の如く」でも「ガラスの仮面」でも

いわゆる「劇中劇」があり、

それがこういうジャンルの面白さの一つ。

 

演劇だけじゃなく、

音楽でもダンスでも

「マンガ」という二次元で立体的に動いたり

マンガにありえない「音」を扱い

かつそれが面白いというのが

 

マンガのすごさであり面白さなんでしょう。

 

で、演劇マンガは。

 

基本的に、「演じている人々」と

その人々のドラマが面白くないといけない。

そして

でて来る演劇が面白くないといけない。

 

そう、実は演劇マンガって

一本の物語の中に

別の物語をかませて

かつ、それがある程度魅力的で面白くないと

マンガとしての魅力に欠けちゃう・・・

 

という非常に難しい分野でもあるのです。

 

「花よりも花の如く」の主人公は

古典芸能の世界で生きている能楽師。

能楽の楽しさや面白さもさりながら

こういった芸能の世界で生きていく

色んなエピソードも面白い話で

成田さんらしい日常の切り取り方が

絶妙な作品です。

 

この能楽もいいんですけれど

中で主人公がテレビドラマか何かの役に

抜擢されたかなんかで

普段と違う現代劇を経験するエピソードがあり

当然、このテレビドラマも一本の筋として

物語られる・・んですが

 

すごくいい話なんですよね。

でも、テレビ的には地味すぎるだろうな、あれは。

そう、マンガとテレビと舞台っていうのは

どれも創造物なんだけれど

発現の仕方が違うから

物語テイストも変えないといけない。

 

そこいくと、やはりガラスの仮面は

すごいですね。

作者は、劇中劇の台本を書くというから

ものすごい労力ですが

読んでいて

「この舞台みたい」と思わせる筋立ては

すごい見せ方。

ヒットするとか話題になるという

作品中のコメントに対して

全く違和感がない。

 

ガラスの仮面の魅力の半分は

恐らく、マヤちゃんが演じる

「舞台」の魅力でしょう。

実際に、ガラスの仮面に出て来る舞台を

自分で台本化して上演したっていう例は

かなりあるそうです。

 

この、「人に何かをさせてしまう魅力と力」。

これは、どこから出てくるのでしょうね。

 

物語の素晴らしさ?

絵の美しさ?

登場人物の魅力?

 

人が行動する動機付けには

二つあるといわれています。

外発的動機付け・・・賞罰など外的要素によって行動する
内発的動機付け・・・感情など内的要素によって行動する

 

マンガを読んでてすごく面白くて

それを自分で台本化して

演じちゃうなんていうのは

明らかに「内発的動機付け」。

だって、多分、やりたくてやったんだと思うんですよね。

報酬があったわけでもないでしょうし

何かに脅されてやったわけでもないでしょうし。

 

だからこそ、

単に「読んでいる」だけで人を動かす力について

考えてしまうんです。

なんだろう?

 

この魅力は

読み手と作品の一体化、

投影と呼ばれる心の動きがあるのだと思います。

つまり、自分自身の気持ちや考え

時には自分自身そのものを

作品の中に見出していくこと。

 

ガラスの仮面であれば

マヤちゃんに「自分」を投影したり

マヤちゃん演じるキャラクターに

自分を投影するのですね。

 

そう、ダンスでも音楽でも

でて来る人は天才が多いんですが

にもかかわらず

非常に投影しやすいキャラクターが多い・・・

というより

投影できないキャラクターの作品は

残っていかないのでしょうね。

 

「プライド」なんて

お金持ちのお嬢さまの物語で

才能も持っていてきれいな女性が

主人公だけれど

すごく投影できるから

作品としてとても魅力的。

 

ガラスの仮面は、

投影できるポイントが非常に多く

「劇中劇」にも投影できるし

マヤちゃん、亜弓さん、

紫のバラの人や桜小路くんとか

投影できるキャラクターも

バラエティーにとんでいます。

 

そう、人は結局

自分のために、自分の感情や考えのためというのが

一番動きやすい。

だから、「まるで自分のよう」だとか

自分もそうだ、と感じさせる

あるいは「こうでありたい」という理想や憧れを

体現しているかどうかということが

人を動かすマンガになってくるのでしょう。

 

ガラスの仮面の劇中劇を観ていると

人を動かすものは、結局この内発的動機付けが

一番強いんだなーと思う。

何十年も読ませる・単行本買わせるって

すごいと思うんですけれど

どうして人はコレを読むかといえば

「面白い」から。

 

カウンセリングであれ、なんであれ

人を動かす力ってなにか?

力強いと思われる作品ってなにか?

内発的動機付けが強いマンガ

まず今日は「舞台もの」からはじめてみましたが

時々考えていきたいと思います。

 

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