『癒しとは、乗り越えていくこと』 from フィーメンニンは謳う | 仕事とマンガと心理学

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心理カウンセラーが語るマンガと小説についてのブログです。
心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、心理カウンセラーの織田です。

 

ちょうど私が中学とか高校生の頃

少女漫画じゃないSFチックな話とか

そのちょっと後にブームになるホラーチックなものとか

SF色が強い、

つまり、通常の少女漫画では

敬遠されがちなマンガを

当時の花とゆめが結構載せていたり

ウイングスが始まったりしていた頃でした。

 

少女漫画の王道は好みではなかった私は

早速と飛びつき、色々読んでいました。

なつかしいなあ。

 

で、その中でも今でも好きな作家さん。

山口 美由紀です。

 

 

この人、短編ではめちゃめちゃいい話を描かれます。

コマ割りが落ち着かない人で

空間で読ませる人ではないんですが

せつない話はとっても上手。

 

長編はねえ、正直むらがありまして、

話が破綻しちゃうんですよね。

 

その中でも、「フィーメンニンは謡う」は

古い作品ではありますけれど

「人が自分のココロの傷を乗り越えていく」姿を

描いた作品としては

織田的にイチ押し作品です。

 

成績はいいけれど、心に余裕のない

女子高生が

ふとしたことで不思議な幼児を拾い

それをきっかけに異世界で冒険する物語。

・・・と、粗筋書くと、いつもながら

芸も何もありませんが、他に書きようがない。

筋的には、定番物語です。

 

さて、私的には、これは癒しの物語。

面白いことに

「誰それが何べえを癒しました」とはならない

癒しの物語。

人物たちは絡み合っているけれど

結局、自分のトラウマは

自分で何とかしなさいねというお話なんですけれど

それが、とても優しく描かれているように

私は読み取っているんです。

 

主人公に敵対する

悪の主人公である悪い女王がいて

この人の傍には

どこまでも付き従っている悪の従者がいるんだけれど

これなんかは

「どこまでも一緒に堕ちていく」系で

私のシャドウを刺激してくれる組み合わせ。

 

でもって、わからなくはないんだよね、

そういう選択肢になることも。

 

でも、それでいいのかなあ。

傷つき、受け入れられず

結果として悪に染まるっていうのは

わかるけれど

それでいいのかなあ。

 

・・・タイムリーに読んでいた時から

もやもやしていたけれど

自分が心理カウンセラーになって

いろんなトラウマに触れるようになり

自己分析も重ねていくようになると

「トラウマがあるんだ」よりも

「それとどうやって付き合うの?」の方が

やっぱり大事なんだなと

段々実感を持って感じるようになるのです。

 

きっと、自分と向き合って

きちんと健全に幸せになろうとするときには

誰もがこんな異世界の冒険の旅をするのでしょう。

 

私が所属しているところで

カウンセリングの講座をしているのですが

そのカリキュラムの中の一つで

こういう言葉があります。

 

「一粒の種を植えた人だけが

一面のひまわり畑を見ることができる」。

 

これを地でいく物語。

癒される勇気が欲しい時には

ぜひお読みください。