今は、いろいろな形の音源があり、家にいながら簡単に音楽を聴くことができます。
けれど、私がピアノを習っていた頃、先生からいつも言われていた言葉があります。
「ピアノを習っているのだから、上達したければ生の音を聴きなさい」
母は、私が小学校低学年の頃からクラシックコンサートのチケットを買い、いつも連れて行ってくれました。
昔の根室は人口5万人。
超一流のアーティストが集まり、クラシックやジャズのコンサートが開催されていました。
初めて聴く曲は長く、ピアノだけではなく、バイオリンのコンサートもありました。
小学生低学年の私には難しく、理解できない曲もありましたが、不思議と飽きることなく最後まで夢中になって聴いていました。
その一方で、一つ下の妹を見ると、母の膝に頭を置いてスヤスヤ……。
私とは正反対でした(笑)
父も音楽が好きで、レコードが大好きでした。
週末になると、大音量でステレオをかけます。
ジャズだったり、オーケストラだったり。
毎週聞かされる曲は耳に馴染みの
音を取り、それぞれのパートの音やリズムを口ずさめる。レコードに合わせて口ずさんでいました。
ヤマハ音楽院に入ると、やはり音楽にあふれた毎日でした。
第一線で活躍されているプロの先生方から直接指導を受けられたことは、今考えると、とても贅沢な経験だったと思います。
先生になりたての頃も、よくコンサートへ足を運びました。
ところが、仕事が忙しくなり、スマートフォンで手軽に音楽を聴けるようになり、次第にコンサートへ行く機会が減っていきました。
「平日は仕事が遅くまであるから」
そんな理由も重なり、札幌という恵まれた環境に住んでいるにもかかわらず、生の音を聴く機会から遠ざかっていました。
先日、まとまった休みを利用して、東京でさまざまな音楽や芸術に触れました。
NHK交響楽団の演奏。
ゲームの音がオーケストラで聞ける貴重なコンサート。秒でなくなるのでかなり苦労しました。
楽曲演奏の中に
ポケモンの属性に合わせたクラシックの曲を数曲演奏。
表現力の一言に尽きる演奏。
一緒に行った次男も『強弱が…凄いね。』と。
その豊かな表現力は、まさに鳥肌が立つほどでした。
劇団四季の舞台では、オーケストラピットが舞台の下にあり、舞台そのものが反響板になっているそうです。
演技が始まり、映画と同じ音楽が流れ出した瞬間、その迫力に圧倒されました。
日本橋三越では、無料のパイプオルガンの演奏。
演奏されていたのは、ビートルズの曲。
柔らかな音色が吹き抜けいっぱいに響き、買い物をしていた人たちも足を止めて聴き入っていました。
そして、第41回浅草サンバカーニバル。
それぞれのチームの演奏が本当に素晴らしく、浅草の小学生たちは夏休みを返上して練習し、保護者も一緒に演奏しています。
どのチームも、太鼓の音が躍動感にあふれ、まるで鼓動のように聞こえました。
本場ブラジルの演奏と踊りは、またひと味違う迫力がありました。
さらに、美術館では大英博物館展の浮世絵を鑑賞。
音楽を聴き、舞台を観て、絵を見る。
子どもの頃、母に連れられて生の音に触れたように、今回は次男が東京にいるおかげで、さまざまな芸術に触れて回ることができました。
画面や音源を通して楽しむのも便利ですが、やはり、その場所に身を置いて、目の前で感じる音や芸術には特別な力があります。
久しぶりに、心が大きく動く時間を過ごしました。