なかなか心の整理がつかないまま、
娘と語り合う。
今日はだいちのお通夜のようなもの。
話して泣いて、話して泣いて。
だいちの火葬、二人で行くつもりだったのに、
娘から提案が。
「私はほわほわのだいちだけを
覚えていたい。本音は火葬にいきたくない」
プランには、そのまま届けてもらうものもあった。
でも、私は、だいちと一緒に行くことにした。
だいちは、ちっちが初めて産んだ仔。
陣痛にびっくりしたちつちは、
私の膝にかけのぼり、
そこで産もうとしたくらい。
そして、生まれたでっかい仔。
からだはでかいのに、
兄弟で一番気が弱く、みんなにいじめられていた。
産まれた4匹をよそにもらってもらうとき、
だいちだけが鳴いて私から離れなかった。
気は優しくて力持ち。
太い太い脚をしてたよ。
最初を見守ったんだから、最期も。
そして、行ってきた。
だいちは、まるで生きてるよう。
ドライバーさんに「綺麗な茶色なんですね」と褒められた。
そうだよ、だいちは綺麗な猫だったよ。
だいち、草原を走れよ。
尻尾を振り立てて。
最期のだいちは、そんな風に見えた。
今にも駆け出しそうだった。
俊敏なアメショーに見えた。
それから、いっぱい食べなよ。
だけど、蝉だけはほどほどにしときなね。
好きなようにどこにでも。
だいち、自由になれ!
そして、とうとう、空に昇っていった。
帰り道、希望ケ丘の駅で、
緑の蝶を見た。
いきなり現れて、私の前をくるくるくるくる。
何度も何度も。
ん?
だいち?
ああ、自由になったんだね。
飛べるんだね。
綺麗な蝶は、
そして、いきなり消えてしまった。
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