日本の戦後76年は、奇跡以外のなにものでもない。

私はそう思えてなりません。

 

日本は1945年(昭和20年)以降一切他国と戦火を交えていない、

僅か8か国の中の1国であるということ。

国の平和、体制を維持することが、世界を見渡してみればいかに容易では無いことが分かります。

 

この数年でも、香港、ミャンマー、そして昨今悲しい報道が相次ぐアフガニスタン。

更に遡れば、イラク、ベトナム、コソボ、東ティモール、ソビエト連邦、

数多くの国が様々な紛争により国の形を変える中、

日本は一貫して平和を維持している訳です。

 

平和だけではありません。

日本は戦前戦後の混乱期を乗り越え、文化、経済を維持している。

自衛隊という組織はあるものの、他国を攻撃することを前提とした「軍」は持たず、

つまりこの76年間一切他国へ武力を行使せず、血を流さず、経済、文化を

育ませてきたことは、世界に誇れる事実です。

 

勿論、過去の戦争による過ちからの反省から、今日の平和国家日本があるわけです。

これは決して忘れてはならず、後世に「正確に」語り継がなければならないことです。

 

その投票率の低さから日本人が政治に関心を示さなくなっていると言われています。

間違いない事ではあるものの、それだけ政治に関心を示さずとも生活が出来る環境、

まさに平和である証拠でもあるかと思います。

 

こちら台湾も現在では、日本と変わらぬ平和、豊かさを享受している国の1つでありますが、

この台湾でさえも1945年以降幾度もの混乱を経て現在の平和があるわけです。

1980年代までの台湾は「戒厳令」が敷かれ、今とは格段に緊張感のある国だったのです。

現在の台湾は、もはや日本以上に民主的とも思える民法、行政のIT化が進んでおり、

日本でも見たことの無い斬新な決済システムも色々有り『(日本が)見習うべきシステムやマナー』も様々。

(無論、その反対の事も多々あります)

この6年半、私は『台湾から日本を見つめ』てきました。

 

その中で強く意識していること。

それは日本は「敗戦国」であるということ。

これは決してマイナスな考えで言っている訳ではありません。

敗戦国でありながら、見事なまでに復興を遂げられた国としては、

間違いなく世界一の国です。

それには、先人の方々の並々ならぬ努力があって成し遂げられたものです。

 

戦後の日本はザっと思いつくだけでも、

敗戦後僅か9年後(1954年)にGHQによる占領から解かれ、

19年後(1964年)にアジア初のオリンピック開催、新幹線の開業、

23年後(1968年)には世界第二の経済大国に成長、

25年後(1970年)に万国博覧会(大阪)開催し、

28年後(1973年)主要国首脳会議G5への加盟、

その後も様々な国際組織、国際行事を主催。

この奇跡を起こせた国は、世界を見渡しても歴史上にも唯一無二なのです。

 

現在の日本人が、同じことをしてみろと言われても恐らく出来ないのではないでしょうか。

それだけ当時の日本人のハングリー精神は並々ならぬものであったと思います。

また、先人たちの努力で現在の日本があるわけで、現在の日本人はそれを「客観的に」

知るべきことです。

 

過去の軌跡に誇りを持ちつつ、

犠牲となった方々への反省、そして、精神の再興が必要かと思うのです。

無論、日本人の努力無しには成しえなかったことですが、外国からの援助があって実現できた奇跡であることも知らなければなりません。

 

かつて、松下幸之助氏もテレビ取材で仰っていたことです。

「(日本の)戦後30年というものは、高度成長と呼ばれる経済復興、発展をし復活した。これは事実であるが、外国の援助(とりわけ米国)があって出来たものである。日本国民の自力(自力更生)で復興したわけでは無いのである。昔であれば(敗戦国は)民族が奴隷になったり苦しみを味わう訳である。しかし、日本は(戦争に)負けたその日から物資、技術、政治の仕組みから外国の援助によって救済されているわけです。こんな結構な負け方というものはないです。あれだけの大きな戦争をして、罰せられてない訳です。戦後30年間で経済を復興させた今、ようやくツケを払う時期なんです。」

 

その通りだと思います。

 

8月15日を敗戦日として呼ぶのではなく「終戦記念日」と呼ぶことからも、

いかに日本が敗戦国であるという意識を持たず今日までやってきたかが示されているわけです。

 

それはそれで良いのです。

未来永劫日本人全てが敗戦国という意識、十字架を背負って生きる必要はありません。

しかし、事実は事実として知らなければならないと思います。

 

私は日本という国に生まれて本当に良かった。幸せ、誇りに思っています。

もし、日本が奇跡の復興を果たしていなければ今のアジア各国、そして世界の縮図は、

大きく異なっていたに違いません。

 

このことを一番意識していない。実感していないのは日本人そのものであると思います。

私は現在2019年9月以来実家大阪へ帰ることが出来ておりません。

まさか、帰国していない間に総理大臣が2回も交代するとは思ってもみませんでした。


日本でも国会議員、都道府県知事、各市町村の長などは直接選挙ですが、

台湾および大統領制を採用している国とは違い、

日本は『総理大臣』は国民が直接選ばない『間接選挙』です。

対して台湾は大統領も国民が直接投票して選ぶ『直接選挙』です。

私は間接選挙、直接選挙それぞれの良さがあると思っていますので一概にどちらの制度が良いとは言えませんが、

台湾からすれば『国民が納得しなければ総理大臣が変えれるのは羨ましいね』と何度か言われました。

時には毎年のように総理大臣が変わる日本。世界からはマイナスなイメージばかり持たれていると勝手に思っていたので、意外な意見でした。

事実、日本は現在の総理大臣で100代目。しかし、国を揺るがすような危機に陥ったことは無い。

それが日本なのです。

台湾の場合一度決めた大統領は当選後に公約違反をしようが、支持が低下しようが次の任期(4年後)まで交代はまず有りません。

また、台湾に限らず大統領制を採用している国は大統領の指令が強力かつ強制的な事が多々あります。

今回の新型コロナにかんする防疫策も、台湾で行った政策を日本でそのまま採用することはおそらく不可能でしょう。

また、私は日本の何が誇れるか?と聞かれると『徴兵制が無い』と答えます。
台湾では現在徴兵制が有り、20歳以上或いは大学、大学院を卒業したら男性は基本徴兵に行かなくてはなりません。日本は太平洋戦争末期の1945年(昭和20)6月22日に制定された15歳以上の男性への徴兵制を最後に徴兵制は制定されておりません。
つまり、昭和5年以降生まれ(つまり今年91歳より若い)日本人男性は召集令状(いわゆる赤紙)を受け取っていません。
ちなみに、台湾でも現在は徴兵制度はあるものの僅か4か月間となっており、いかに台湾が平和になったかが分かります。

その他日本は、
国の許認可が遅い(特に医薬品)
憲法が70年間一度も変わっていない(それだけ完成度の高い憲法だという証拠)
巨大な個人貯蓄額
巨大な特例公債(赤字国債)
アジアで最もノーベル賞受賞者が多い
国や企業が投資する研究費が多額
などなど

とかく今一度、日本、日本人は戦後世界からどのような『恩恵、援助』を受けて復興、

成長出来たかは忘れてはなりません。

日本は『いわゆる外地(台湾も含まれる)』と呼ばれる地域と、それらに保有していた資産を失ったものの、ドイツのように西ドイツ、東ドイツのように国土を分割されませんでした。

(ちなみに、日本は4地域に分割統治される可能性はありました。)
更に、戦時国債をハイパーインフレにより相殺出来たこと、

その為税金を経済成長、科学技術の研究費に集中して使えたこと。

1973年2月迄1米ドル360円の固定相場制による貿易黒字の恩恵、

そして東海道新幹線や名神高速道路等世界銀行からの莫大な借入金により出来たことを忘れてはなりません。
更に、日本が世界銀行からの借入金を完済したのは1990年と平成に入ってからです。

恐らくそれらを認識している方はそう多くはないのではないでしょうか。

日本の戦後はまさに激動そのものであり、様々な援助があったからこそ成長出来たのではないでしょうか。復興からやがて世界への貢献として、様々なODAや国際組織への出資、そして数々の『Made in JAPAN』を世界に送り出してきました。
今は名目GDPは中国に抜かれ3位になりましたが1968年から2010年迄『43年連続世界第2位を維持』したことは世界に誇れるものです。

長々書きましたが、私が見ました日本の76年です。
こらからの日本を一言で言いますと『今までと同じ仕組、活動では成り立たない』です。

『今の日本の仕組は人口増加を前提とした計画ばかり。』です。
既に65歳以上の人口は3500万人を超え(ちなみに台湾は全人口が2370万人)、2005年に戦後初めて人口が減少し、今後も年々30万とも40万ともいわれる人口が毎年減少し、
このままのペースだと2048年には総人口が1億人を割り込むと言われております。

『待った無しの課題』も山積です。

私は、
『人口減少を前提とした経済、行政システムの確立』をすれば、人口減少、高齢化は決して悲観的なことばかりでない。と考えております。

これからの日本、台湾が国際的な立ち位置をどう維持出来るのか、貢献出来るのか。それを、数年後には日本同様人口が減少するとされる『台湾』という隣国で僕は台湾に対して、日本に対してどのような貢献が出来るかを模索してまいります。

 

平和国家であるということは、国際間紛争以外の事で世界に貢献が出来るチャンスが無限大にあるわけです。

例えばこの76年でも日本は、アジア通貨基金、アジア開発銀行、国際通貨基金(IMF)に

多大な貢献をしてきました。オリンピックを2度開催出来た事もそうです。

また現在進行形の2050年を目標としているカーボンニュートラル(脱炭素)も、平和国家であるからこそ取り組める訳です。

 

世界の中で平和国家の存在は、一言では表せない「安定」「中和」の役割があるわけです。

 
最後に、本田宗一郎氏、松下幸之助氏の遺されたテレビ取材のリンクと写真を貼り、

当ブログを締めくくりたいと思います。

 

本田宗一郎氏インタビュー

松下幸之助氏インタビュー

 

 


それでは失礼いたします。