(長文)フランス芸術「貴婦人と一角獣」×「TAKAHIRO」コラボ作品を発表。制作の裏舞台。
9月5日木曜日から大阪に来ております。
大切な本番が続きました。
先ずはクリューニ国立美術館から来日している芸術作品「貴婦人と一角獣」開催を記念したNHK大阪主催のイベントに出演しました。
その名も「ピアノとダンスと貴婦人と一角獣」
会場は大阪「大阪市中央公会堂」
出演は
ピアノデゥオ「レフレール」氏、ピアノ界の巨匠アクセル・ツヴィンゲンベルガー氏
そして私、ダンサー「TAKAHIRO」
タピスリーを見て受けたインスピレーションを元にそれぞれがこ作品を披露すると言うものでした。
この作品の制作は今年一番高いハードルでした。
まず、インスピレーションの元となる「貴婦人と一角獣」について。
この作品は1500年代のフランスで作成されました。
6枚のタピスリー(絵画絨毯のような織物)で構成されています。
それぞれの絵には、必ず「貴婦人」「多くの動物」そして「一角獣」が描かれています。
1~5枚目までは「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」をテーマに描かれていると解釈され、そして最後の6枚目が謎の絵なのです。
この6枚目は「我が唯一の望み」と言う題名なのですが、その絵の指す意味が不明。
この6枚の絵は美術館の公式HP「コチラ」で見れますので良かったらアクセスしてみて下さい。
1~5枚目の「五感」表す絵たちは、それぞれに貴婦人描かれ、彼女が「触れていたり」「香りを楽しんでいたり」「鏡を眺めたり」しています。
6枚目の絵には貴婦人が従者の持つ小箱から宝石を取り出そうとしている(あるいは仕舞おうとしているようにも見える)様子が描かれています。
果たして、その情景が何を示しているのか?
諸説では「第6感」だったり「理性」「本能」あるいは「会いの告白」であるとも考えられています。
この連作を見てインスピレーションを受けた演舞を作成するのです・・・
ここからはいかにして、私がこの作品の演舞を完成させたかの手順を紹介してみようと思います。
★「美術館へ実物を見学に」
「おおぉぉ、細かい、、、。 貴婦人の顔がそれぞれの絵で違うぞ。 若かったり年を取っていたり。。。。 動物が沢山沢山描かれている。。。最後の6枚目はやっぱり人間にしかない第六感、、、これは人間にしかない感覚「欲望」を表しているのかなぁ。」
そして、【よしっ!「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」そして「欲望/理性」を表す6種類のダンスを披露しよう!!】と思い至りました。
★「音楽を選出」
普段はストリートダンスが多い自分です。踊る音楽はビートの強いポピュラーミュージックで踊る事がメインです。
でも、今回のパートナーは西暦1500年にフランスで作成された高貴な作品。
心を6枚のタピスリーに寄せて行くとやはりクラシック音楽で踊りたい、仏国の作曲家の曲で踊りたいと確信。
沢山の曲を聴き、それぞれの曲のテーマを調べます。
その中で出会ったのが「シャルル・カミーユ・サン=サーンス」による組曲「動物の謝肉祭」
様々な動物達のカーニバルのような印象を感じさせる14曲からなるこの作品を聴いた時「これだ!!!」とビビッときました。
★「動きとテーマの作成」
この14曲から6曲を選んでそれぞれの「感覚」をダンスで表現するのだ!
日常の移動中に音楽を聴き続け想像を膨らまします。
ダンス作品の動きの70%以上はスタジオ以外の空想/想像の世界で出来上がるんですよ。
イメージの中でリンクした6曲を繋ぎ合わせ1つの曲にまとめます。
そして、出来上がった1曲を改めて日常で聴き続け想像を広げます。
それが固まって来たらスタジオでリハーサルです。
実際に動いてみるのです。
先ずは、コンテンポラリーなイメージで裸足で踊ってみます。
1つ目の曲で「触覚」の踊り、2つ目の曲で「味覚」の踊り、3つ目の曲で、、、、4つ目の、、、
各曲を感じ、回ったり、足をあげたり激しく動いてみたりしました。
しかし、、、ピンと来ないのです。
自分の動きから「語りかける」物を感じません。
それは、「内面から表現が出来ていないから」でした。
「五感」+「なにか」を表現してみるのは絵の表面を触ってみただけに過ぎず、コンテンポラリーの動きも慣れない事を模写しているに過ぎず。。。
自分の言葉で自分自身の答えを出してこそのインスピレーションであり、表現作品だと痛感しました。
そして、改めて考え直しました。
もし自分があの時代のタピスリー受注者だったら何を思ってこの作品を作らせたのだろう。。。
6枚目の指す意味は何なのだろう。
自分にとって五感とは。。。
実は、僕は生まれた時に耳が悪かったです。
小さい頃はそれを良くする為の治療を受けていました。
僕が、このタピスリーを注文するとしたら。。。
受注者の愛する者達は「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」の五感がいつまでも生き生きと機能し、同時に未来永劫繁栄してほしいと願ったのではないだろうか。
西暦1500年、五感が全て完全に機能して生活出来るのは本当に幸福な事だったのではないか。
五感の大切さを常に忘れず心を律し、日々の生活を愛おしんでほしい。
その思いが6枚目の作品「我が唯一の望み」に込められているのではないか。。。
そう考えて改めて絵柄を見てみると「貴婦人」に目が行きました。
「どの貴婦人も年齢が違う。若い姿もあれば年老いた姿もある」
次に「一角獣」に目をやりました。
一角獣は「キリスト」を表現したり「処女に懐く」と言われたりしています。
この「一角獣」が全ての絵柄、つまり若い貴婦人だけでなく、年老いた貴婦人にさえ懐いていると言う事は「たとえ時が流れてもいつまでもそれぞれの感覚がフレッシュでピュアな状態であってほしい」と受注者が願っているのだと感じました。
6枚目の貴婦人が持つ宝石は首飾りに見えました。
首飾りの光り輝く「円」が廻り続ける永劫の繁栄を示しているように感じました。
そして、この6枚目があるからこそ他の5枚の絵が輝いて見えるようでした。。。
この受注者がこの作品に込めた思いを「五感の永続」への願いと考えた時。
受注者の「本心」を聴いたような気がしました。
それは「五感を失う事への恐怖」でした。
それは「無・死への恐怖」/「有・生への渇望」の声に聴こえました。
そこで「抗えない時の流れに生を欲する心の葛藤」をテーマに今回の作品を作る事にしました。
題名は「SENS DU TEMPS」(時の感覚)
作品を作り直し始めました。
変わらずサンサーンスの曲は魅力的です。これを使いたい。
タピスリーの受注者は5枚+1枚の作品を見せる事で五感をより際出させていました。
でも、自分だったら五感と言うテーマを見る者に際だたせようとしたら新しい作品を一枚足すのではなくて、一枚を抜いた4枚の作品を受注するだろうなと思いました。 何だか日本的な考え方だけれど、折角海外の作品とコラボするのだから和的な考えも入れたい!
と思って「動物の謝肉祭」で6曲(五感+1)選んでいた曲を4曲(五感ー1)に変更しました。
こうなってくるともう自分は音楽と作品の言葉を聞くだけでいいのです。
彼らがどんどん踊りの構成と動きを教えてくれます。
以下が今回の作品の動きの一言一言であり設計図です。
「気付くと私は椅子に座っている。やおら立ち上がると、目の前には5つの絵(タピスリー)が浮かび上がっている。それぞれを見て感じるままに動いているのだ。触覚では手と手を合わせ、味覚では口を覆ってみせる。 5枚の絵を見てふと背中に気配を感じた。 振り返るとそこには6枚目の絵が掛かっている。 じっと見つめるとまるで誰かが自分の身体を乗っ取ったように身体が動かなくなってしまう。 どれだけの時が止まっていたのだろう。 私は私ではなく、全ての感覚はその時無であったのだ。 少しづつ感覚が身体に戻ってくる、音楽が進むたびに欲した感覚が戻ってくるようだ。 感覚は増長する。気付いた時には五感全てが私の中にある。それでも私は欲しているのだ。今までより激しく。そうか、私はこの五感が永遠に続く事を欲しているのだ。私の五感が燃えるのと同時に暗闇が迫っているのが分かる。時は過ぎ時は来た。もはや私は私ではなく、全ての感覚はその時無であったのだ。 気付くと私は椅子に座っている。」
これを自分自身の表現で現して動きを完成させました。
★衣装の選択
作品が出来上がると衣装の選択に入る。
選んだ衣装は真っ白の上下に、首飾りがついたものだった。
まずは、「無」と「有」を同時に示せる色を探した。
黒だろうか、と頭によぎったが「白」がふさわしいと考えた。
その完全さのなかに時の揺らぎを表現したかったので、肌の少し露出出来る物を選んだ。
さらに、無の中にあって有を欲する心。「我が唯一の望み」を表現する為に6枚目の絵と整合性の感じられる「首飾り」を選んだ。
★メイクの選択
顔の色肌の色を、生と死の中間を感じさせる雰囲気にしても頂いた。
その中で唇だけは赤く生命を宿してもらいました。
踊りの中で赤い唇を開く事で「求める心」を表現したかったからです。
★照明の相談
照明は無から有の膨張そして同時に迫る無を表現する為に光をしぼって頂いたり膨らませたり、して頂きました。 出来るだけ削ぎ落としシンプルな作りにして頂きました。
かくして、「貴婦人と一角獣」×「TAKAHIRO(上野隆博)」コラボ作品【「SENS DU TEMPS」(時の感覚)】が完成したのでした。
これが僕がこのタピスリーから受けたインスピレーションでした。
見る人によって全く答えが違ってくると思います。
芸術の素敵な所ですね^ー^
本番では、ソロ作品の他に「貴婦人と一角獣」に関しての専門家の先生とのトークショー、そして!!!
もう一グループのGUEST[レ・フレール]さんとの即興コラボレーションも行ないました!!
これが、超 超 楽しかったです!!!
それこそ「生きてるっ!!」と言う感じで心が躍りました!!!
その次の日には、「レ・フレール」さんとNHK大阪生放送「ぐるっと関西おひるまえ」に出演させて頂き、同じようにソロ作品の披露と、即興のコラボレーションPart2を行ないました。
またご一緒させて頂けたらいいなぁ。
そして、今回いらして下さった、見て下さった、応援して下さっているみなさんに感謝です。
もし、この公演の写真や、動画がUPできる事になったらまたお知らせしますね。
次の新しい挑戦もガムバルゾっ!
p.s.大阪で行なった他の活動は次のブログでお届けします^ー^ 僕が「緊急オペシーン」の振付けをさせて頂いたミュージカル作品「甲子園だけが高校野球ではない」が今日大阪にて本公演なのでよかったらチェックしてみて下さい!
TAKAHIRO 上野隆博
大切な本番が続きました。
先ずはクリューニ国立美術館から来日している芸術作品「貴婦人と一角獣」開催を記念したNHK大阪主催のイベントに出演しました。
その名も「ピアノとダンスと貴婦人と一角獣」
会場は大阪「大阪市中央公会堂」
出演は
ピアノデゥオ「レフレール」氏、ピアノ界の巨匠アクセル・ツヴィンゲンベルガー氏
そして私、ダンサー「TAKAHIRO」
タピスリーを見て受けたインスピレーションを元にそれぞれがこ作品を披露すると言うものでした。
この作品の制作は今年一番高いハードルでした。
まず、インスピレーションの元となる「貴婦人と一角獣」について。
この作品は1500年代のフランスで作成されました。
6枚のタピスリー(絵画絨毯のような織物)で構成されています。
それぞれの絵には、必ず「貴婦人」「多くの動物」そして「一角獣」が描かれています。
1~5枚目までは「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」をテーマに描かれていると解釈され、そして最後の6枚目が謎の絵なのです。
この6枚目は「我が唯一の望み」と言う題名なのですが、その絵の指す意味が不明。
この6枚の絵は美術館の公式HP「コチラ」で見れますので良かったらアクセスしてみて下さい。
1~5枚目の「五感」表す絵たちは、それぞれに貴婦人描かれ、彼女が「触れていたり」「香りを楽しんでいたり」「鏡を眺めたり」しています。
6枚目の絵には貴婦人が従者の持つ小箱から宝石を取り出そうとしている(あるいは仕舞おうとしているようにも見える)様子が描かれています。
果たして、その情景が何を示しているのか?
諸説では「第6感」だったり「理性」「本能」あるいは「会いの告白」であるとも考えられています。
この連作を見てインスピレーションを受けた演舞を作成するのです・・・
ここからはいかにして、私がこの作品の演舞を完成させたかの手順を紹介してみようと思います。
★「美術館へ実物を見学に」
「おおぉぉ、細かい、、、。 貴婦人の顔がそれぞれの絵で違うぞ。 若かったり年を取っていたり。。。。 動物が沢山沢山描かれている。。。最後の6枚目はやっぱり人間にしかない第六感、、、これは人間にしかない感覚「欲望」を表しているのかなぁ。」
そして、【よしっ!「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」そして「欲望/理性」を表す6種類のダンスを披露しよう!!】と思い至りました。
★「音楽を選出」
普段はストリートダンスが多い自分です。踊る音楽はビートの強いポピュラーミュージックで踊る事がメインです。
でも、今回のパートナーは西暦1500年にフランスで作成された高貴な作品。
心を6枚のタピスリーに寄せて行くとやはりクラシック音楽で踊りたい、仏国の作曲家の曲で踊りたいと確信。
沢山の曲を聴き、それぞれの曲のテーマを調べます。
その中で出会ったのが「シャルル・カミーユ・サン=サーンス」による組曲「動物の謝肉祭」
様々な動物達のカーニバルのような印象を感じさせる14曲からなるこの作品を聴いた時「これだ!!!」とビビッときました。
★「動きとテーマの作成」
この14曲から6曲を選んでそれぞれの「感覚」をダンスで表現するのだ!
日常の移動中に音楽を聴き続け想像を膨らまします。
ダンス作品の動きの70%以上はスタジオ以外の空想/想像の世界で出来上がるんですよ。
イメージの中でリンクした6曲を繋ぎ合わせ1つの曲にまとめます。
そして、出来上がった1曲を改めて日常で聴き続け想像を広げます。
それが固まって来たらスタジオでリハーサルです。
実際に動いてみるのです。
先ずは、コンテンポラリーなイメージで裸足で踊ってみます。
1つ目の曲で「触覚」の踊り、2つ目の曲で「味覚」の踊り、3つ目の曲で、、、、4つ目の、、、
各曲を感じ、回ったり、足をあげたり激しく動いてみたりしました。
しかし、、、ピンと来ないのです。
自分の動きから「語りかける」物を感じません。
それは、「内面から表現が出来ていないから」でした。
「五感」+「なにか」を表現してみるのは絵の表面を触ってみただけに過ぎず、コンテンポラリーの動きも慣れない事を模写しているに過ぎず。。。
自分の言葉で自分自身の答えを出してこそのインスピレーションであり、表現作品だと痛感しました。
そして、改めて考え直しました。
もし自分があの時代のタピスリー受注者だったら何を思ってこの作品を作らせたのだろう。。。
6枚目の指す意味は何なのだろう。
自分にとって五感とは。。。
実は、僕は生まれた時に耳が悪かったです。
小さい頃はそれを良くする為の治療を受けていました。
僕が、このタピスリーを注文するとしたら。。。
受注者の愛する者達は「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」の五感がいつまでも生き生きと機能し、同時に未来永劫繁栄してほしいと願ったのではないだろうか。
西暦1500年、五感が全て完全に機能して生活出来るのは本当に幸福な事だったのではないか。
五感の大切さを常に忘れず心を律し、日々の生活を愛おしんでほしい。
その思いが6枚目の作品「我が唯一の望み」に込められているのではないか。。。
そう考えて改めて絵柄を見てみると「貴婦人」に目が行きました。
「どの貴婦人も年齢が違う。若い姿もあれば年老いた姿もある」
次に「一角獣」に目をやりました。
一角獣は「キリスト」を表現したり「処女に懐く」と言われたりしています。
この「一角獣」が全ての絵柄、つまり若い貴婦人だけでなく、年老いた貴婦人にさえ懐いていると言う事は「たとえ時が流れてもいつまでもそれぞれの感覚がフレッシュでピュアな状態であってほしい」と受注者が願っているのだと感じました。
6枚目の貴婦人が持つ宝石は首飾りに見えました。
首飾りの光り輝く「円」が廻り続ける永劫の繁栄を示しているように感じました。
そして、この6枚目があるからこそ他の5枚の絵が輝いて見えるようでした。。。
この受注者がこの作品に込めた思いを「五感の永続」への願いと考えた時。
受注者の「本心」を聴いたような気がしました。
それは「五感を失う事への恐怖」でした。
それは「無・死への恐怖」/「有・生への渇望」の声に聴こえました。
そこで「抗えない時の流れに生を欲する心の葛藤」をテーマに今回の作品を作る事にしました。
題名は「SENS DU TEMPS」(時の感覚)
作品を作り直し始めました。
変わらずサンサーンスの曲は魅力的です。これを使いたい。
タピスリーの受注者は5枚+1枚の作品を見せる事で五感をより際出させていました。
でも、自分だったら五感と言うテーマを見る者に際だたせようとしたら新しい作品を一枚足すのではなくて、一枚を抜いた4枚の作品を受注するだろうなと思いました。 何だか日本的な考え方だけれど、折角海外の作品とコラボするのだから和的な考えも入れたい!
と思って「動物の謝肉祭」で6曲(五感+1)選んでいた曲を4曲(五感ー1)に変更しました。
こうなってくるともう自分は音楽と作品の言葉を聞くだけでいいのです。
彼らがどんどん踊りの構成と動きを教えてくれます。
以下が今回の作品の動きの一言一言であり設計図です。
「気付くと私は椅子に座っている。やおら立ち上がると、目の前には5つの絵(タピスリー)が浮かび上がっている。それぞれを見て感じるままに動いているのだ。触覚では手と手を合わせ、味覚では口を覆ってみせる。 5枚の絵を見てふと背中に気配を感じた。 振り返るとそこには6枚目の絵が掛かっている。 じっと見つめるとまるで誰かが自分の身体を乗っ取ったように身体が動かなくなってしまう。 どれだけの時が止まっていたのだろう。 私は私ではなく、全ての感覚はその時無であったのだ。 少しづつ感覚が身体に戻ってくる、音楽が進むたびに欲した感覚が戻ってくるようだ。 感覚は増長する。気付いた時には五感全てが私の中にある。それでも私は欲しているのだ。今までより激しく。そうか、私はこの五感が永遠に続く事を欲しているのだ。私の五感が燃えるのと同時に暗闇が迫っているのが分かる。時は過ぎ時は来た。もはや私は私ではなく、全ての感覚はその時無であったのだ。 気付くと私は椅子に座っている。」
これを自分自身の表現で現して動きを完成させました。
★衣装の選択
作品が出来上がると衣装の選択に入る。
選んだ衣装は真っ白の上下に、首飾りがついたものだった。
まずは、「無」と「有」を同時に示せる色を探した。
黒だろうか、と頭によぎったが「白」がふさわしいと考えた。
その完全さのなかに時の揺らぎを表現したかったので、肌の少し露出出来る物を選んだ。
さらに、無の中にあって有を欲する心。「我が唯一の望み」を表現する為に6枚目の絵と整合性の感じられる「首飾り」を選んだ。
★メイクの選択
顔の色肌の色を、生と死の中間を感じさせる雰囲気にしても頂いた。
その中で唇だけは赤く生命を宿してもらいました。
踊りの中で赤い唇を開く事で「求める心」を表現したかったからです。
★照明の相談
照明は無から有の膨張そして同時に迫る無を表現する為に光をしぼって頂いたり膨らませたり、して頂きました。 出来るだけ削ぎ落としシンプルな作りにして頂きました。
かくして、「貴婦人と一角獣」×「TAKAHIRO(上野隆博)」コラボ作品【「SENS DU TEMPS」(時の感覚)】が完成したのでした。
これが僕がこのタピスリーから受けたインスピレーションでした。
見る人によって全く答えが違ってくると思います。
芸術の素敵な所ですね^ー^
本番では、ソロ作品の他に「貴婦人と一角獣」に関しての専門家の先生とのトークショー、そして!!!
もう一グループのGUEST[レ・フレール]さんとの即興コラボレーションも行ないました!!
これが、超 超 楽しかったです!!!
それこそ「生きてるっ!!」と言う感じで心が躍りました!!!
その次の日には、「レ・フレール」さんとNHK大阪生放送「ぐるっと関西おひるまえ」に出演させて頂き、同じようにソロ作品の披露と、即興のコラボレーションPart2を行ないました。
またご一緒させて頂けたらいいなぁ。
そして、今回いらして下さった、見て下さった、応援して下さっているみなさんに感謝です。
もし、この公演の写真や、動画がUPできる事になったらまたお知らせしますね。
次の新しい挑戦もガムバルゾっ!
p.s.大阪で行なった他の活動は次のブログでお届けします^ー^ 僕が「緊急オペシーン」の振付けをさせて頂いたミュージカル作品「甲子園だけが高校野球ではない」が今日大阪にて本公演なのでよかったらチェックしてみて下さい!
TAKAHIRO 上野隆博