今、年金受給額が少ないという不満を主に全共闘世代が漏らしているが、はっきり言えば贅沢を言いすぎでありふざけるなと言いたいくらい相対的には恵まれている世代である


日本の年金制度最大の問題が、バブル崩壊後に就職を余儀なくされたいわゆる就職氷河期世代であり大体現在の40代にあたるロストジェネレーションである


私もここに属するために、ウクライナ避難民の雇用問題の次に、おそらく社会保険労務士として生涯を掛けて取り組むテーマとなる



まず、今の50代以上で就職氷河期に掛かっていない世代まではバブル期を謳歌しており、平均生涯年収は全体的に高い

それでも旧国民年金法や厚生年金基金があった現在の80代以上の方よりも受給額が減るため不公平と考えている人が多いのだが、その世代は太平洋戦争を経験している世代であって、苦労したその方たちに比べ恩恵が減るのは当然である

基本的に先進国になればなるほど少子化になるのであり、確かに少子化政策を取った政治の責任はあるとしても大なり小なり少子化になるのは自然なことである


それに比べて就職氷河期世代はまず正規雇用が格段に少なく、就職出来ていても同じ能力だとしても標準報酬月額がガクンと下がる

そもそも生涯賃金が平均的に大きく下がるのに、標準報酬が高い上の世代の年金を当分支えなくてはならず、自分たちが貰える年金は当然のように低額となる

また生涯未婚率が一気に上がるのもこの世代からであり、一体何重苦を負わなければならないのかという悲惨さである


もちろん個人差はあるが、全体的に見れば明らかに現在の40代と50代にはどうしようもない断絶、不公平が存在するのである


30代以下も、リーマンショックが直撃していたり部分的に不幸な世代はあるのだが上の40代の標準報酬が少ないために年金の負担という意味では、少なくとも恵まれない者をアベノミクス等で比較的恵まれた世代が支えるため、恵まれたバブル世代を恵まれないロストジェネレーションが支えなくてはならないほどの酷い断絶にはならない

人口が減っていくことへの不公平感はあるがそれは別の政策的な問題である


岸田首相はバラまき政策をやるのであればその対象はロストジェネレーションに絞るべきであるし、将来年金受給額にボーナスを付けるなどの世代間手当てを真剣に検討して頂きたい

現在のロスジェネ対策はあまりにも不十分であり、50代以上への高齢者対策ももちろん社会の安定には必要ではあるがそれ以上に現在の40代に手厚い措置を取らなければあまりにも悲惨なことになる


もちろん生まれた時代が偶然悪かっただけなのだが、災害の被災者救済と同じレベルでの救済が必要であると考える


単に自分がその世代だから言っているのではない

それもあるが、このままだと今後社会不安が大問題になるのが目に見えている

老後2000万円の貯蓄などロスジェネに求めるのは滅茶苦茶であり、アベノミクスの恩恵が出る世代までの経過的措置を早急に取る必要があるだろう


子育て世代を優遇するのは結構なことだが、真に力を入れるべきはその上の世代であり、この世代を放置してから少子化対策でその下の世代を優遇するのはあまりにも酷である


子どもを持てる若い世代は元々恵まれており、真に救わなければならないのは子どもを持つことが叶わなかった現在の40代であることを、パフォーマンスばっかりのどっかの市長や政治家は肝に命じてもらいたい

やるのが15年遅い政策である



いずれにせよ、総じてロストジェネレーションは負担だけ大きく将来給付が非常に少なくなる世代であり、国として大規模な救済をすべきだと社会保険の専門家として強く訴えたい