接客リーダーは、全体を統括する役割を担い、A社経営者からの信任も厚く、将来は自分の店を持ちたいと思っていた。
これは令和5年度事例1の問題本文を構成している一文です。
前回、
問題本文に埋め込まれている出題者の意図(問題本文の目的)は、以下の2つという話をしました。
① 解答の根拠を示すため
② 事例としての説明のため
①であれば、さらに文章の内容を解答の根拠として解釈する必要があります。
②であれば、書かれていることをそのまま受け取るだけです。
受験者側がこの判断をする決め手は、
「根拠として探している記述が明確になっていること」です。
たとえば、
A社とX社の経営統合課程のマネジメントに関する問題があり、
「組織統合の進め方」を助言する要求に対し、
X社の経営がうまくいっているなら、
それぞれの良さを残しつつ統合を進める。
X社の経営はそれほどうまくいっていないなら、
X社の組織をA社と同様の組織にしていく。
このどちらかであろうと想定し、
着眼点
・X社の経営と組織の状況
・A社の経営と組織の状況
を設定していたとします。
そして、
問題本文全体の文脈から
A社の経営はうまくいっており、
X社の経営はそれほどうまくいっていないことが読みとれたとします。
つまり、
組織統合の進め方としては、
「X社の組織をA社同様の組織にしていく」
解答が期待されている可能性が高い、
という前提になります。
この前提で、
改めて冒頭の記述を確認してみてください。
目的が①であり、
出題者が伝えたい内容は、
「X社にA社の接客リーダーを送り込むことの妥当性を示す根拠」
と解釈できるでしょう。
問題本文の読み取りがうまくいくかどうかは、
読み始める前の準備(解答の組み立てイメージと着眼点の設定)の品質で決まります。
準備をせずにたまたま見つかることもありますが、
そんなことを繰り返しても、
合格確率は上がりません。