境界線をはみだすことを想定してみることで、

境界内のこと(=理解したいこと)の理解を深める。

 

2次試験の境界線をはみ出た事例とは?

 

参考までに“境界線の外側の例“を紹介します。

 

<設定的にアウトな事例4の問題>

D社では昨年から続く危機的状況を打開するための社運を賭けた製品開発を検討中である。この投資案が失敗した場合D社は存続できない。以下の投資案の概要に基づきこの投資案の正味現在価値を算出せよ。

 

解答:△18.67(百万円)

 

これでは、D社が存続できなくってしまう。

この投資案以外の打開策があれば話は別だが、

「社運を賭けた案」がいくつもあるとも思えないし、不自然である。

ちなみに本試験の事例においても、

D社の財務的課題を解決する案がひとつしかなく、

そのN PVを算出する場合は、必ずプラスの数値に(ゼロより大きく)なる。

 

<設定的にアウトな事例1の問題>

A社では、同業他社に比べ正規社員の割合が少ない人員構成である。このような人員構成を維持している理由を答えよ。

 

解答:徹底した低コスト体質の維持が戦略上重要だから。

 

「非正規社員を人件費抑制のために活用する」という内容は、

現在であればアウト。

かなり過去に行っていたことの理由であれば可能性はゼロではない。

(いまはそんなことないですけど、そういう時代もあった的な文脈)

現在のことと智まったて出題するのであれば、

非正規は働く側の都合であり、

それに対応することで多様性のある人材の確保(組織の活性化)という方向

が考えられる。

 

<設定的にアウトな事例3の問題>

C社の生産面での問題点と対応策を答えよ。

 

解答:見込生産である主力製品の作り過ぎによる過剰在庫が問題である。

   対応策は生産計画に販売実績を反映させること。

 

主力製品の販売数の低下に合わせて生産数を減少させれば

過剰在庫は改善される。

しかし、C社の売り上げは低下したままである。

C社経営者がなんとかしたいのは、

主力製品の販売数が低下しているほうであろう。

「在庫」を問題にする場合は、

「多品種化」とか単に「受注増」という設定になる。

(受注は問題ないが、余計なコストがかかっている設定)

 

<設定的にアウトな事例2の問題>

B社経営者は、新たな顧客層を獲得するためのマーケティング策を検討している。

以下の設問に答えよ。

(設問1)B社がターゲットにすべき顧客層を答えよ。

 

解答:低所得者層

 

低所得者層をターゲットにした商品やマーケティングは可能であろう。

(たとえば宝くじは、低所得者層向けの商品という見方がある)

しかし出題者がこの層を解答させるような事例設定はしない。

必要がないのに「格差」を認め前面に出すことを避けたい。

ということは同じ理由から、

「富裕層」をターゲット層にする問題も出しにくいことになる。

(もしどうしてもということなら「海外の富裕層」とする手はある)。

 

今日は退屈しのぎにスマホをいじくるかわりに、

「設定的にアウトな事例は?」

と考えてみましょう。

 

考えた結果出てきた内容よりも、

「考える行為(過程)」に意味があります。