小中高等学校の統廃合の現状と課題(2019年)
より
少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業①<学校統合>
(1)学校統合を選択した理由
・ 児童生徒数の減少により児童生徒の人間関係の固定化や教
育活動の制約等が深刻化したため
・ 施設の老朽化対策や耐震工事の必要
・ 子供園や放課後児童クラブなどの施設と一体化
 
(2)学校統合により生じる課題への対応
① スクールバス等の多様な交通手段の導入に伴う課題への対応
⇒保護者等と協議しつつ安全・安心な通学環境や児童の健康・
体力に配慮したスクールバスの運行。【岡山県真庭市】
② 通学路の安全確保に関する対応
⇒地域ボランティア(H28:108人)により、登下校の見守りや街頭
指導を実施。 【長野県岡谷市】
③ 児童生徒の環境変化への対応
⇒統合前から統合対象の4校の交流事業として「子ども祭り」や
「町探検」を実施。【山梨県山梨市】
④ 地域との関係希薄化を防ぐ工夫
⇒地元の自然や歴史、文化に関する副読本を作製・活用。地域
人材を講師に招いて、ふるさと学習を実施。【大阪府能勢町】
⑤ 学校統合を行う場合の検討体制の工夫
⇒地域の小学校等の円滑な統合を進め、新しい教育環境を実
現するため、統合の4年前から地域や保護者の代表者もメ
ンバーとする準備委員会を月に1回開催。その検討状況
は随時、広報している。 【岡山県真庭市】
地域住民が子育て・教育に参画する中で、有用感や地域貢献
の意欲を高めることにより、地域活性化を一体的に進めている。
 
(3)学校統合したことによる成果(期待する成果)
・ 児童生徒の変化(学力向上、人間関係多様化)
・ 統合を契機とした地域との新たな協働関係の形成
・ 魅力ある学校づくり(特色ある教育課程、幼小中一貫した教育)
・教職員やSCの配置、ICT設備等学習環境の充実
 
 
少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業②<学校存続>
(1)小規模校の存続を選んだ背景
・ 他校までの距離が遠距離で、通学が不便
・ 島内1小1中であり、運行ダイヤの事情
・ 学校が地域の核であり、地域コミュニティを存続させる必要
・ 小規模特認校制度の活用による児童生徒数増への期待
・ 先進的ICT環境の整備・活用
 
(2)小規模校のメリット最大化とデメリット緩和
<メリット最大化>
① 少人数を活かした指導の充実
⇒子ども一人一人の個人カルテを作成し、教科の定着度をはじめ、社会教育への参加状況等も掲載。【北海道占冠村】
② 特色あるカリキュラム編成
⇒「くらしの中の食(農業体験)」に焦点をあて、生徒が野沢菜の栽培に挑戦し、収穫時期には地域の方々から特産の「野沢菜漬け」や「おやき」の作り方を学ぶ。【長野県伊那市】
③ 社会性の涵養、多様な考えに触れる機会の確保
⇒・ 有識者を含めた推進委員会を設置し、授業の方法
について検討・評価。
・ 中学校の理科の授業でICTを活用した遠隔地間の
合同授業(同じ実験を行い、意見交換)を実施。
【長野県伊那市】
<デメリット緩和>
③ 社会性の涵養、多様な考えに触れる機会の確保 ⇒右記参照
④ 教職員体制の整備
⇒中学校数学科や音楽科の教員に兼務発令し、小学校における教科
指導の充実と指導方法の工夫改善。【岐阜県御嵩町】
 
(3)小規模校の存続により得られた成果
・ 特色ある教育活動等の推進による児童生徒の増加
・ 住民が教員の補助的役割を果たすなど、より一層地域が学校に参画
・ ICT環境整備により、授業や会議での活用による教育の質の向上、教員の負担軽減
「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を策定(平成27年1月)
<学校統合による魅力ある学校づくり>
● 施設整備への補助
統合に伴う学校施設の新増築(負担割合:原則1/2)や、
改修(算定割合:原則1/2)に対して補助
◆公立学校施設整備費 160,816百万円の内数
● 教員定数の加配
平成28年度より加配期間を延長
⇒ 統合前1年~統合後2年→統合前1年~統合後5年
◆教員定数の加配措置 令和元年度460人
● 自治体間の連携や義務教育9年間を見通した学
校運営モデルの創出
● 統合や小規模校の教育環境充実に関する取組モ
デルの創出
◆少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業
36百万円
● スクールバス等購入費補助
◆へき地児童生徒援助費等補助金 2,332百万円
うち、スクールバス等購入費 602百万円
<小規模校を存続させる場合の教育活動の高度化>
● 小規模校への教員定数の加配
◆教員定数の加配措置 令和元年度75人
● 都道府県による市町村のニーズや実情を踏まえた適切な
指導・助言・援助を支援【再掲】
● 統合困難な地域における教育環境の充実の取組モデルを
創出・普及
◆少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業
36百万円
<休校している学校の再開支援>
● 施設の大規模改造・長寿命化改良への補助
◆公立学校施設整備費【再掲】 160,816百万円の内数
●スクールバス・ボート購入費補助【再掲】
● 学校再開に関する文部科学省の相談窓口のワンストップ化
<地域コミュニティの維持・強化>
● コミュニティ・スクールや地域学校協働活動などを通じた学校
を核とした地域力強化の推進
◆学校を核とした地域力強化プラン 6,395百万円
● 廃校の有効活用への支援
● 文化・スポーツなど地域振興のための事業の紹介