『孤高のグルメ』の松重豊さんは素晴らしい俳優さんです!
『孤高のグルメ』(主役)やNHK大河ドラマ『どうする家康』(家臣役)でおなじみの俳優松重豊さんが、現在日経新聞夕刊1面の『あすへの話題』にコラムを書いています。
7月27日は『守らねばならぬこと』というタイトルで、こんなことを書いていました。(抜粋)
寺山修司も唐十郎も師匠(蜷川幸雄)もいなくなり、既存の権力や価値観を覆す僕ら芸能の初期衝動を鮮やかに体現してくれる方々はもうこの世にいない。
ただし真綿で首を絞められるようにして、僕らの表現の幅は狭まってしまった。
我々を監視するのはNHKではなくSNSという巨大空間で、道徳と正義の名のもとに魔女狩りを続ける見えない人々だ。ほんの一握りの少数意見でも巨大な怪物に変身する。
(以下要約)
今日もヤクザの親分役をしていたところ、ピストルをもって相手の組事務所に車で向かうシーンで、助監督が「カット」の声。
「すみません。シートベルトの着用をお願いします。」
これがコンプライアンスって奴だ。
素晴らしい!価値観を覆すことが芸能の初期衝動の一つだと言い切れる俳優さんは、今ほとんど居ないのではないでしょうか?
居るかも知れないけど、公器を使って堂々と主張できる人はいないでしょう。
現代は価値観が一面的でなっており、それ以外の価値は認めないということがまかり通っています。
ネガティブよりボジティブ、暗いより明るい、負けより勝ち、アウトローよりメジャー・・・
芸能の初期衝動は、これを覆すことで成り立っていることが忘れられています。(ただしあくまで初期衝動であって、その後は体制の庇護を受けて生き延びて来たことも事実。美術にしても音楽にしても能にしても。)
昭和の時代には松重さんが挙げた人など、歌手ならカルメンマキとか山崎ハコとか泉谷しげるなど周縁部の声を代弁する人がたくさんいました。
いまやそういう価値を許容することができない。攻撃や対立だけが先鋭化しています。
ピストル持った親分がシートベルトをしないことが映像にできないなんて、一体何を表現すれば良いのでしょう?
松重豊さんを全面的に支持したいと思います。
それにしても親分がピストルを持って直々に押し掛けるとは、余程小さな組なんですね。
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【昨夜の日本酒】
引き続き前夜と同じ奈良県五條市の『五神 純米吟醸生原酒』
ビールをたくさんいただいたので、なかなか日本酒まで到達しないのです。