経済的に成功するためのショック・ドクトリン | エスクローおじさんのブログ

経済的に成功するためのショック・ドクトリン

昨年の今頃NHKEテレの『100分DE名著』で、『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン著)が取り上げられたときは驚いてこのブログにも書きました。

 

何しろアメリカ政府や企業を痛烈に批判した本なので、NHKが取り上げるとは意外に思ったのです。

 

この本がアメリカで出版されたのは2007年。私はある方から要約をいただくことができたので、大まかな内容は知っていました。

 

そして2011年に日本で出版されたときは、内容はわかっているので読まなくても良いかと思っていました。

 

昨年6月に『100分DE名著』の課題本として取り上げられたので、テキストを買って4回の放送を見ました。

 

余程好評だったらしく、この度文庫本が出版されたので、初めて全編を読むことになりました。(岩波現代文庫刊・上下2巻各1,815円)

 

やはり要約やテキストだけではダメですね。あらためて衝撃を受けました。

 

ショック・ドクトリンとは、惨事便乗型資本主義と訳し、天災や戦争・内乱・クーデターなどの非常事態が発生した時(あるいは意図的に発生させて)、市民・住民・人民が思考停止状態になっているときに、通常なら不可能な法律改正を行い国営企業の民営化・労働者の大量解雇・規制緩和を急速に進めることで、特定の企業が膨大な利益を得ることをいいます。

 

結果として失業率や物価の急上昇や格差拡大を生み、多くの人が惨事以前の生活以下の生活水準に陥ることになります。

 

具体事例としてチリのピノチェトのクーデターやソビエトの崩壊、中国の天安門事件、イラク戦争など多数の事例を挙げ、それによって膨大な収益を上げた企業名も列挙されています。

 

日本でもイラク戦争の時には、当時の小泉純一郎総理が「イラクが大量破壊兵器を保有している」証拠をアメリカのブッシュ大統領(子)から提示されたので、平和と安定のため有志国連合に参加する。」と国会で答弁して後方任務に自衛隊を派遣しました。

 

しかしその証拠は一切秘密として公開されず、今となっては大嘘だったことがわかっています。

 

ブッシュ大統領も退任時の記者会見で、間違いであったことを認めていますが、これは意図的に間違いを流布したとしか思えません。

 

日本もショックドクトリンの一翼を担ったということです。見返りはどの企業がいくらもらったのか?復興事業では三菱重工や住友商事などが受注しています。

 

現在進行中のロシアのウクライナ侵攻やイスラエルVSハマスの戦争も、ショックドクトリンの視点から見ると別の見方ができます。

 

また日米など民主主義陣営とロシア・中国の権威主義陣営の新たな冷戦と捉えられることが多い現在の世界状況も、同じく別の見方ができるということになります。

 

上下2巻で800ページの大作ですが、読む価値はあります。NHKが取り上げたくなるのももっともだ。

 

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【昨夜の日本酒】

昨夜はプロ野球福岡ソフトバンクホークス対中日ドラゴンズの観戦のため、日本酒はなし。ホワイトホースのハイボールで過ごしました。