資本主義社会の前は?贈与の思想が注目されている | エスクローおじさんのブログ

資本主義社会の前は?贈与の思想が注目されている

5月17日(金)の日経新聞朝刊最終ページ(文化32面)は、『贈与の思想 社会変革のヒントに 資本主義の行き過ぎ修正』というタイトルで、「贈与」「所有」に哲学者や文化人類学者が注目していると、最近発行された書籍を挙げて書いています。

 

資本主義以前の経済社会はどんな社会だった?という質問に、経済学者や専門家と言われる人を含めてほとんどの人が「物々交換」と答えます。困ったものです。

 

世界中どこを探しても資本主義以前に物々交換で成り立った経済が存在したことを証明できる事実はありません。もしご存じならご教示ください。

 

仮に物々交換の社会があったとしてら、多くの人が飢えて死ぬのが常態化していたことでしょう。

 

何故なら自分が衣服を持って行って鶏肉と交換しようと思っても、都合よく鶏肉があるとは限りません。一日中探しても鶏肉どころか豚肉もない、米もなかったとしたら飢えて死ぬでしょう。

 

現代のように市場に何でも商品が溢れているのを見ている私たちだから、必ずどこかに鶏肉と交換したい人がいるだろうと思いますが、そんな都合の良い市場はありません。

 

資本主義以前は贈与経済だったので、衣服と鶏肉がマッチしなくても「いいよいいよ鶏肉あげるよ。持ってきな。」ということで飢え死にしなくて済んだのです。

 

等価で交換が普通、あわよくば付加価値を付けてより高く売ろうと考える現代人には、到底想像がつかないでしょう。

 

この贈与の思想は、資本主義が高度に発達した現代でも脈々と続いており、私たちの生活の一部を構成しています。

 

資本主義の行き過ぎた部分を修正するために、わずかに残っている贈与の思想を掘り起こすことが重要と考えますし、日経新聞もそう考えて特集したものと思います。

 

■取り上げられている書籍

マルセル・モース『贈与論』(ちくま学芸文庫または岩波書店)贈与論の鉄板!

岩野卓司『贈与をめぐる冒険』(ヘウレーカ)

森山工『「贈与論」の思想』(インスクリプト)

柄谷行人『力と交換様式』(岩波書店)

片谷行人ほか『柄谷行人「力と行動様式」を読む』(文春文庫)

 

森山氏の本は未読なので、さっそく読んでみよう。

 

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