つべこべ言わないで不動産仲介手数料は自由化すべし | エスクローおじさんのブログ

つべこべ言わないで不動産仲介手数料は自由化すべし

先日国土交通省が「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることが できる報酬の額」の一部改正(案)を発表しました。

 

これは空き家など低価格でしか売れない不動産について、仲介手数料を規定通り「売買価格の3%+6万円と消費税」としてしまうと労力の割に手数料が少ないため、不動産業者がやる気を起こさずいつまで経っても売却出来ないという実情を改善するために考えられたものです。

 

改正案では、800 万円以下の売買に関して、依頼者から受ける 報酬の額(消費税等相当額を含む。)については、宅地建物取引業者は従来の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受けることができることとし、この場合において、当該依頼者から受ける報酬の限度額を 30 万円+消費税とするというものです。

 

例えば500万円の空き家の売買の場合、従来規定では21万円+税が上限になるところ30万円+税になりアップするので頑張ってねということのようです。

 

果たしてこの程度の増額でお忙しい不動産業者様が動いてくれるでしょうか?

 

500万円の空き家を売買できる状態にするまでには、相続人を見つけ出し遺産分割協議をまとめ、相続登記を終了させることが必要になったりします。

 

あるいは認知症の所有者がいれば、成年後見人を選任して、家庭裁判所に自宅の売却許可の申請をして許可を得なければなりません。この申請のためには事前に買主を見つけておいて、許可が下りたら契約が成立するという停止条件付売買契約書を提出する必要があります。

 

このような面倒な手続きが必要になる空き家の売却を、たかだか9万円手数料が増えるだけでやってみようと思う不動産業者様が何人いるでしょう?

 

このような小手先の改正をするのではなく、手間や労力に応じて各不動産業者が自由に手数料を請求できるようにすれば、もっと多くの空き家が流通すると思いますし、それによって業者間の競争が発生すると思います。

 

これは私が15年前から国土交通省会議で主張してきたことです。

 

しかし仲介手数料の自由化には明確に反対する勢力が2つ存在します。

 

1つは意外にも不動産業界団体。

 

理由は「自由化したらディスカウンター(安売り)の業者が出てきて手数料が低下する」というもの。

 

もう1つは国土交通省で、そんなことをしたら売主の足元を見た業者が高い手数料を請求するので消費者利益にならないというもの。

 

どちらもおめでたい考えです。

 

つべこべ言わずとっとと自由化すれば、空き家の売主はしっかり見極めて自分のために妥当な手数料で働いてくれる不動産業者に売却を依頼するでしょうし、力もないのに高い手数料を取る業者は淘汰され、空き家は一気に解消へと向かうと思います。

 

しかしこの2つの勢力は岩盤規制なので、私が主張してもビクともしないのです。

 

結果、空き家の流通はいつまで経っても活性化しないのです。

 

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