エコノミストもわからない『金利がある世界』
私がまともなエコノミストだと思っているBNPパリバ証券の中空麻奈氏が、先日テレビ番組でおもしろいことを話していました。
日銀のマイナス金利解除後の利上げ=金利のある世界になると、どのような影響があるか?という質問に対して、一通りコメントした後に「金利のある世界と言いますが、ほとんどの人は金利がある世界を経験していない訳です。そういう私も金利がある世界は初めて経験する訳ですから。」
中空氏の推定年齢は50歳代半ばと思われるので、前に『金利のあった世界』が34年前とすれば、大学生の頃になりそうおっしゃるのも当然ですね。
正直におっしゃるところが信頼できると思う根拠です。
今週号の『週刊ダイヤモンド』は、第2特集で『金利ある世界 住宅ローン/家計/株』という特集を組んでいます。
その中で変動金利型の住宅ローン金利が上昇したらどうなるのかというシミュレーションがあり、変動金利が2026年末までに3.1%になるとして計算しています。
変動金利型住宅ローンを利用している人の平均的な借入金利は、1.3%程度ではないかと考えますが、これがさ来年末までに3.1%になるということは倍以上になるということです。
過去に2年間で変動金利が倍以上になったことはありません。
あのバブル経済期でも1987年に5.7%だったものが、1990年に8.5%に上昇したのが目立つ程度です。
あのときの株価は今年2月にようやく高値を更新しましたが、日経平均38,915円に暴騰し、地価も1987年から1990年まで倍に急騰しました。(この年は中空さんは慶応義塾大学の学生だったはずです)
それでも倍にはならなかったのですから、2026年末までに3.1%になることは考えられません。
このシミュレーションをしている記者は、おそらく金利のある世界を知らない若い記者だと推測します。
金利が倍になるということがどういうことか、もう少し考えてみる必要があります。
※仮に金利が倍になるとすると、コストプッシュ型インフレが到来し(現在でもコストプッシュ型インフレと言えますが、それを遥かに超えるインフレ)、物価高騰が止まらなくなった場合と予想されます。
そうなると変動金利型住宅ローンを借りている人だけでなく、日本に居住する大多数の人が生活苦になると考えられます。呑気にシミュレーションしている場合ではありません。
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【昨夜の日本酒】
知人に「名古屋で一番おいしいジンギスカン屋だから」と誘われて、アイスランド産の羊肉を提供する店に行きました。この一週間で3回目のジンギスカンです。
ということで、昨夜は紹興酒で日本酒はなし。羊肉の餃子も絶品。誘い文句に偽りなしでした。