資本主義の次に来る世界は、どのような世界か?
『資本主義の次に来る世界』(ジェイソン・ヒッケル著、東洋経済新報社刊、2400円+税)がベストセラーになっているようです。
この本は経済本なので、難解ではないかと思う方が多いと思いますが、著者は旧スワジランド(現エスワティニ)出身で。英国王立芸術家協会のフェローも務める経済人類学者という少々変わった経歴を持つせいか、文章は大変分かり易く、読むのが遅い私でもスムーズに完読できました。
経済学はもちろん、哲学、文化人類学、生物学、物理学など豊富な知識を駆使して、資本主義の問題点を解消するためにどうすればよいかを提案しています。
前半第1部は「多いほうが貧しい」というタイトルで、資本主義の誕生から現在までの歴史を概観し問題点を網羅します。筆者も書いていますが、ここは知られた事実を並べているだけなので飛ばしても良いです。
後半第2部は「少ないほうが豊か」というタイトルで、いかに資本主義の次の世界へ向かうかを書いています。
最終章から抜粋すると・・・
資本主義は現在の生態系の破壊や気候温暖化を止めることができず、人類存続の危機を回避することが困難に見えるが、希望を持とう!
脱成長はより少なく取るというプロセスから始まるが、最終的には、あらゆる可能性の扉を開くことになる。私たちを希少性から豊富さへ、搾取から再生へ、支配から互恵へ、孤独と分断から生命あふれる世界とのつながりへを進ませるのだ。
これが要旨です。
そもそもこの本の原題は『Less is more』ですから「少ない方が良いよね」です。
こんな本がベストセラーになるなんて、まだまだ捨てたものではないですね。希望を持とう!
先日雑談である税理士さんに「資本主義の次に来る世界って、どんな世界ですかね?」と聞いたところ、「お前バカじゃない?資本主義が終わるはずないだろう。そんなこと考えている暇があったら仕事したら。」と言わました。
すかさず「先生は世界史とか日本史とか勉強しましたか?絶対王政や封建制はいつまでも続いたわけではなく、徳川時代もそう、天皇を頂点とした日本帝国もそう。永遠に続いている社会制度はないのです。資本主義がなくなってもおかしくありません。」
「まぁ、時代の流れの中にいる人は、この制度が永遠に続くと思うでしょうけど。歴史を振り返れば、そんなことないとわかりますよ。」と申しておきました。
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【昨夜の日本酒】
島根県出雲市の板倉酒造さんの「天穩(てんおん) 純米吟醸 改良雄町 身を清め 気を晴らす酒 山陰吟醸」
気は晴れましたが、身が清まったかどうかはわかりませんでした。