映画を早送りで観る人たち | エスクローおじさんのブログ

映画を早送りで観る人たち

昨日の日経新聞夕刊の書評欄で『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史著・光文社新書刊・990円)という本が取り上げられていました。

 

最近は若い世代で、映画やドラマの倍速視聴や10秒飛ばしという観方が増えている。時間の節約や損をしたくない等の心理があるのではないかと著者が探るという内容のようです。

 

評者が興味を持ったのは、一方で上映される作品もそのスタイルに合わせようと工夫をしているというところ。『鬼滅の刃』などは主人公の動きを、説明セリフを増やして表現することで倍速視聴に対応していると指摘しています。

 

メディア側と視聴者側、双方の立場から書いてあり、コンテンツ消費のあり方の変化を見据えたメディア論であると評しています。

 

私はこの本を読んだわけではありませんが、この書評を読んで思い出したのが「能」の上演時間のことです。

 

能の上演時間は、演目によって異なりますが60分~90分と言われています。

 

ところがこれは能が始まったときからこうであった訳ではなく、当初は半分ほどで超特急の上演、江戸時代には現在の9割ほどで演じていたと言われています。つまり時代が進むにつれて、表現方法が細かくなっていっために時間がかかるようになったのです。

 

世の中、時代とともにスピードアップするのが当然と思うのですが、能の世界は逆ですね。

 

私もテレビで放映される能をビデオに撮って休日に観ますが、正直、あまりにスローなので何倍速かに上げて観ています。

 

私にとっては丁度そのスピードで観ると理解しやすいのです。それだけ自分の体が現代の忙しい生活に慣れてしまったのかと思ったのですが、そうではなくて観る側の自分が能に慣れてきたので、昔の早い速度で観てもある程度理解できるようになったのかと思っています。

 

いずれにしても、現代人は毎日何かしらの情報をメディアから大量に得ているわけで、その生活が長い間に体に染みついて、表現方法や行動に現れると、どのような影響があるか注視する必要があると思います。

 

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