新しい住宅ローンは、なぜ日本ではだめなのか? | エスクローおじさんのブログ

新しい住宅ローンは、なぜ日本ではだめなのか?

現在国が進めている住政策の一つに、「建物価値を基にした新しいローンの開発」というテーマがあります。本日はこれに関っている立場から一言。

 

例えばノンリコースローン(非遡及型ローン)とかリバースモーゲージ(不動産担保型逆融資)とか、残価設定型住宅ローン(一定期間経過した後に、予め決めておいた額で住宅を買い取る保証付きローン)などが、建物価値を基にした新しい住宅ローンとして検討されています。

 

しかし金融機関が二の足を踏んで遅々としてなかなか進展しません。

 

これらのローンは欧米では広く利用されていますが、それは土地に価値がないからできるのです。

 

例えばアメリカには「地価」はありません。あるのは「住宅価格」です。「ケースシラー住宅指数」なんていうのでも有名ですよね。

 

私の記憶が間違っていなければ、アメリカでは1997年以降土地価格の統計を取ることを止めてしまったと思います。何故なら地価の変動がほとんどないので、統計を取る意味がないのです。

 

地価に変化がないので、あとは簡単。建物の価値を上げるために一生懸命維持管理・メンテナンスをすれば良いのです。

 

これなら10年後に住宅の価値がいくら位になっているか、容易に推測できます。

 

こういう社会だからこそ建物価値を基にしたローンが通用するのです。

 

それに対して日本は建物価値は新築後20年でほぼゼロになることは、悲しいかな推測できてしまいますが、建物より地価の占める割合の方が大きいし、その変動など自分でどうしようもない訳です。

 

これでは10年後にいくらで買い取りますなんていう仕組みのローンができる訳がない。

 

ということで、建物価値を基にした新型ローンを開発するより先に、建物価値が20年でゼロになるという常識を変える方が先になるのです。ですから私は今のところ「新型ローンは後回し。」と言うのです。

 

そこで国にお願いしたいのは「新築住宅に関する各種減税措置を中止し、優良な中古住宅への減税に切り替えること。」です。

 

そもそも国民の多くが「中古より新築がほしい!」と言っているのですから、人気のある方に減税措置を用意する必要はないはずです。これから支援したいと考える方に減税措置を用意するのは当然の政策だと思います。

 

このようにドラスティックな政策を実施しなければ、日本の住宅は変わらないと思うのですが・・・

 

こんなこと国の勉強会で言うと「またアイツは過激なことを言っている。」と冷ややかな目で見られるのです。もう慣れちゃったけどね。