ホームインスペクション(住宅診断)は誰に頼めばよいのか? | エスクローおじさんのブログ

ホームインスペクション(住宅診断)は誰に頼めばよいのか?

宅建業法改正案が可決され、2018年までに中古住宅の売買に当たっては、仲介業者はホームインスペクション(通常「住宅診断」と言っていますが、条文では「建物状況調査」となりました)について売主買主に説明する義務等が発生することになりました。

 

条文に即して、その詳細について審議する「社会資本整備審議会の産業部会の不動産部会」が始まりました。

 

最初に議論されたのが「ホームインスペクションを誰がやれることにするか?」という点です。

 

議論では建築士・施工管理技士の他に宅地建物取引士という意見も出されました。業界代表の方の意見として宅建取引士にもできるようにしたいという気持ちはわからないでもありませんが、条文には「建築について詳しい者」という一文がありますので、この段階で宅建取引士はあり得ません。

 

先日23日の中日新聞朝刊で、社会派で知られる白井記者がホームインスペクションについて記事を書いています。

 

私も取材を受けましたが、記事の最後に私の「建築士だからと言って、現場に詳しいとは限りません。ホームインスペクションの実績を確認して依頼した方が良いでしょう。」というコメントを採用してくれています。

 

建築士さんにはカチンとくるコメントでしょうが、本音は誰も否定しないと思います。

 

建築士さんと言っても、設計はできても建築現場に監理に来る人は稀ですし、建築後10年20年経過した建物を診断したことがある人は、ほぼいないと言っても過言ではないでしょう。

 

また建築士と言っても、その分野は大きく意匠・構造・設備の3つに分かれており、構造や設備設計をしている建築士さんが住宅の現場に来ることはまずないでしょう。

 

という理由で、おそらく最終的に部会の結論は「建築士に担当させる」ことになると思いますが、依頼する人(売主・買主あるいは仲介業者)は、必ず住宅診断をした実績を確認しないといけません。

 

しかし今までそのような制度がなかったところに、降って沸いてできた制度ですから、対応できる建築士さんが少ないのはやむを得ません。

 

当面混乱が発生することは致し方がないと思うので、「ホームインスペクションの実績を確認して依頼してください。」とアドバイスするのがやっとということになるのです。