金融危機を繰り返さないためには、どうするか? | エスクローおじさんのブログ

金融危機を繰り返さないためには、どうするか?

昨夜は、NHKスペシャル『マネー資本主義』の最終回「危機をくりかえさないために」でした。


資本主義がだめだったから、社会主義などということもありませんし、新自由主義がすべてだめでケインズ型経済が良いというわけでもないでしょう。名案があるわけではありませんが、こういう番組を作ることは必要だと思います。


番組内では、「人間の強欲をどう抑えるか。」とか「株主資本主義から公益資本主義の流れがある。」とか「地域の借り手が金融機関と共存できる融資を模索している。」ことなどが挙げられていました。


今回の金融危機の原因を人間の欲に求めると言うのは、いささか浅い議論です。


私達FPは、日頃お客様のファイナンスのプランニングをする中で、マネーの専門家などと呼ばれていますが、それでは「マネーの本質とは何か?」と言うことになると意外に勉強していません。


そんなことを思いながら『緑の資本論』(中沢新一著・ちくま学芸文庫刊・900円+税)を読んでみると、マネーの本質の一旦がよく理解できました。


2001・9・11同時多発テロで何が問われたのか。


同じ一神教からスタートしたにもかかわらず、「父と子と聖霊」という三位一体論をこじつけて編み出し、モノの増殖性や利子を認めたキリスト教(グローバル経済の根拠)と一神教を忠実に守って利子を認めず拡大生産を認めないイスラーム教。


一方が経済的文化的に世界を侵食する中で、圧倒的に不利なイスラーム世界はあのような反撃に出ざるを得なかった。


マネーの本質は増殖性だけにあるのではなく、多様であるということをイスラーム教の経済=緑の資本論を鏡として認めることから始めよう、という内容。


マネーを宗教と絡めて分析した精緻な本です。読んでいる間に感動すら覚えました。経済を考えるときに是非読んでおきたい本だと思います。


もう一度。マネーを増殖させること(利益を得る。経済成長すること。)だけが唯一の価値観でないということを「理解すること」から始めることが大切でしょう。


決してイスラーム経済にしろとか言っているのではありません。念のため。