算数のつぶやき 112「中国の算数」 | 算数のつぶやき

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私は長年、算数教科書の編集長として、算数に関わってきました。今は独立し、算数コーディネーターとして「算数の楽しさや面白さ」を発信しています!

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今日の算数のつぶやきは、「中国の算数」についてです。 いつもあまり何も考えずに、その時に思いついた算数に関することをつぶやいているのですが、今日は教室における教師の関わり方について気になるツィートをみつけたので、そこからスタートします。 ツィートの細かい内容は差し控えますが、そこから私が受け取ったのは、教師が授業で道化者になる必要があるのかどうかということ。道化者になるとまではいかないまでも、子どもと友だちのような感じで接するのが良いのかということ。このあたりのバランス感覚は、私にとっては永遠のテーマとなっています。 少し遡りますが、2007年に日中算数国際シンポジウムが北京で開催され、私もそれに参加しました。写真はその記念で作られた本です。もう1つ、桂小米朝さん(5代目の桂米團治さん)が日本語での落語が北京で通用するかという試みも同時に行ったのですが、話が長くなるので割愛します。 日中での算数交流は、それぞれの国を代表する先生が算数の授業を披露するというもの。子どもはすべて北京の小学生たち。日本の先生たちは、言葉や文化の壁をこえて、とても素晴らしい授業をされました。子どもたちとゲームをして、たまにわからないフリをして子どもに指摘させ、楽しむうちにきまりがわかって算数の学習につながるというようなもの。 ただ、中国の先生方の授業は、それとは大きく異なるものでした。まず、教える者と教わる者という区別がしっかりできている。テンポが速い。でも、要所を的確に押さえて授業を進めるのでわかりやすく、子どもたちも集中して取り組んでいる。発表やコミュニケーションももちろんあるが、それも楽しそうに目を輝かせて活動している。それを支えるように、プロジェクターと黒板とをうまく併用もしている。 この日中の違いは何があるのか。授業後に、中国の先生に日本の授業の感想を聞くと、「子どもの目線に降りてわかりやすそうだった」「子どもの考えを多く引き出していた」と軽く褒めつつ、「テンポが遅すぎて定められた学習内容が終わらない」「教えるべきところを考えさせたり、考える手がかりがないまま考えさせたりしている」といった核心部分を簡単に見抜かれてしまいました。 その指摘を受けてから10年以上が経ち、今では中国はPISAの学力調査で1位を独占するほどに成長しています。もちろん、この影には、過度な競争主義社会ということも関係はしているとは思いますが、それだけではないと感じています。 日本では、子どもの目線に降りて、道化者になったり友だちのような関係になったりしながら、子どもの学びの意欲の調査は国際的に最低水準。一方、教師と児童との間をしっかりと分けている中国では最高水準。このことは、しっかりと受け止めて、今後の教育を考えていかなければならないと思っています。 #算数 #算数教育 #道化者の先生 #友だちのような先生 #中国の算数 #PISA #日中算数国際シンポジウム

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