リップサービスやめたドラギ総裁 | 日経ほぼ朝コメント

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欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で、

追加緩和を見送った。


それでも理事会後のドラギ総裁の

記者会見では2つのサプライズがあった。


ひとつは追加緩和の議論すらしなかった

と明かしたこと。


2つ目は次の一手について極めて慎重な

言い回しに終始したことだ。


口先介入で相場を動かす

「ドラギ・マジック」はすっかり影を潜め、

市場との対話は潮目が変わった。



表向きの理由は

実体経済の先行きについて

判断が難しいことだろう。


経済予測を次に見直すタイミング

である12月の理事会まで

「様子見モード」を決め込みたいという

のが多くの理事会メンバーの本音だ。


金融政策の政策効果が揺らいでいる

ことも、ECBの重荷になっている

可能性がある。


日本で広がる「金融政策の限界論」

が、ユーロ圏にも及ぶ。

緩和路線を突っ走った結果、

市場からの信任が揺らいだ日銀が

反面教師になりつつある。






もっとも欧州の政治日程を見れば、

いま動くことはECBにとって得策

ではないことがわかる。


ドイツ、フランス、オーストリア、

イタリア、オランダ、それにスペイン。

来秋までユーロ圏では立て続けに

選挙や国民投票が行われる。


それが景気にどう影響するか

見えないだけではない。

英国と欧州連合(EU)の離脱交渉

も動かず、不透明さがいつまでも

残るだろう。


緩和の切り札を温存するという

選択は正しい。


これはユーロ圏では焦点が

中銀から政治に移りつつあること

を意味する。


ECBの理事会メンバーではなく、

有権者の選択が相場を左右する

場面が増えてくるだろう。


(日経ヴェリタス9月11日号)


・・・・・・


確かに金融政策には限界がありますが、

ここまでユーロ圏が安定を保ってきたのは、

2012年夏にドラギ総裁が、


「ユーロ防衛のためならなんでもする」


と決意を示したことが大きいです。


英国のEU離脱問題は、

結果的には各国の国民に

EU離脱のデメリットも意識させること

になったので、大きな危機には発展

しづらい面もあり、


今後市場との対話は

サプライズを演出しない

ゆるやかなものになっていくでしょう。



(過去の関連記事はこちら)

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