漁村と二酸化炭素
先日、北海道大学・水産科学研究院の古屋温美先生を招いて、「低炭素社会における漁村など小地域の取り組みと水産公共政策」についてお話を聞く機会に恵まれました。
古屋温美先生
漁村というと、のんびりとしていて空気がよくて、自然がいっぱいというイメージがあるのですが、二酸化炭素の排出という観点から見ると、優等生とはいえないとのことでした。
まず、重油を大量消費して船を走らせ、照明(ex漁火)を煌々と照らす。そして、持ち帰った魚などを大型の冷凍庫を使用して保管し、重油を利用して干物や昆布を乾燥させる。これら、すべてにおいて、かなり二酸化炭素を消費します。
では、二酸化炭素の排出量を減らすにはどうしたらよいかですが、これは漁業の共同化による効率化ではないかとのことでした。
すなわち、今までのように、小型漁船で各々エネルギーを消費するのではなく、ある程度船を大型化し、みんなで漁業をするようにして効率化を図る。さらに、船を走らせるときには、エネルギーの消費の観点から最適な速度というものがあるので、それを守って船を走らせる。かなり改善の余地があるとことでした。
ただ、漁師さんはみな独立心が旺盛で、自分の船を持つことにこだわりがあるので、共同化などはなかなか難しいとのことでした。
先日の東日本大震災では、多くの漁船が被害を受けました。ご自分の船を失った漁師さんの心痛は、いかばかりかと思います。
漁師さんの意思を尊重しつつも、漁船の共同化など、地球に優しい漁村へ生まれ変わるような取り組みができたらよいのではないでしょうか。
※北海道新聞の社説(2011年4月28日)によると、宮城・岩手の漁協は組織的に漁や養殖を行う協業化を提唱しているとのことでした。