現在、今治-木浦-岩城-弓削-生名-土生快速船航路を運航しているのが、ご存知芸予汽船だ。
この会社は第三セクターであり、民間会社の愛媛汽船&因島汽船+自治体である今治市・尾道市・上島町の五者によって出資され設立されたものだ(今治市、尾道市とあるが、当時は合併前だったので、正確には旧今治市、旧伯方町、旧因島市といった自治体としての資本参加だった)。
愛媛汽船と因島汽船は以前、今治-木浦-岩城-弓削-生名-土生航路をフェリー航路として運航していた事業者であり、1988年、しまなみ海道の伯方大島橋の開通を機に、以後橋の相次ぐ開通に伴い、純粋民間だけでは経営が困難になることが予想されるとして、両社に加え自治体が資本参加し、新会社、芸予汽船(設立時は芸予観光フェリー)が設立された。
こうしてこの新会社、芸予汽船が航路の運営を引き継ぐことになったのだ。
そして、1999年のしまなみ海道全通時に、一部を残してフェリーを廃止し(現在は全廃)、基本的に旅客のみを扱う、快速船航路として現在に至っているわけだ。
出資比率は
愛媛汽船と因島汽船の民間コンビが66.5%
今治市が15%
上島町が12.5%
尾道市が6%
と、なっており、見ての通り
愛媛汽船・因島汽船で
全体の7割近くを占めている。
実際の船の運航をはじめ、会社の運営・管理その他は全て、愛媛汽船・因島汽船が行っており、これに出資比率から見ても実質
芸予汽船イコール愛媛汽船&因島汽船
であると言ってもよい状態にある。
さらに、三自治体は、芸予汽船という会社の運営、管理、その他を愛媛汽船&因島汽船に
丸投げ
している状況にあり
会社の詳細な経営実態を把握していない。
まさに
三自治体にとって
芸予汽船の内部状況はほぼ完全にブラックボックスとなっており
ただ、今治・上島・尾道の三自治体は
定期的に愛媛汽船&因島汽船側役員から報告を受けるだけ
である。
ちょっと信じられないような話だが、はっきり言うと
実質、愛媛汽船&因島汽船が三自治体から
何の干渉も受けることなく好き勝手にやっている
ということだ。
では、実質、愛媛汽船&因島汽船そのものである芸予汽船における、今治市・上島町・尾道市はどのような立ち位置なのかというと、それは、単なる
赤字補填装置
に他ならない。
現在の芸予汽船は、赤字を垂れ流しながら運営されている。
その赤字を補填するため
だけに
三自治体は出資者として名前を連ねていると言っても過言ではない。
日本中の民間航路事業者の多くが、過疎化による利用者減や原油高騰などに苦しめられ、必死に航路維持のため闘っている時世に、芸予汽船は
のうのうと
旧態依然
とした航路運営を行い
赤字削減の努力も殆ど皆無
に等しい。
税金による多額の赤字補填を受けている会社の分際で、愛媛汽船&因島汽船からの会社役員は、未だ、当然のように高額の報酬を受け取っており、実行可能な身を切る改革なんぞ、いつになっても行わない。
いや、行うわけがない。
そりゃそうだろう。
何の努力をしなくても
自治体から自動的に赤字が補填される環境に置かれている
のだから
何を好き好んで自分たちから、自ら身を切る努力をやろうものか。
まさに
ノーリスクの会社運営
まさに
夢のように虫のいい会社経営
を行うことができるのだ。
自分たちは一切赤字を被る必要がない
のをいいことに、ダラダラと放漫経営を続けることができるわけだ。
そして、自治体側が少しでも赤字補填金をケチろうとするならば、すぐに
「船を止めるぞ」
「航路から手を引くぞ」
と
恫喝
してくるのだ。
上島町の首長として、芸予汽船の出資者の一人という立場にありながら、上村俊之町長は、その能力の無さから、愛媛汽船&因島汽船に対し、町益を守るための主張すら、何一つすることもできない。
そして、その無能さに、さらにつけこむ愛媛汽船&因島汽船。
これが実態なのだ。
それこそ、本当に芸予汽船が
血の出るような赤字削減の努力
を積み重ね
「これ以上の赤字削減努力は企業として不可能、もはや限界なので、どうか航路を維持するために公金の投入をお願いしたい」
とでも訴えてくる状況ならば、高梁もここまで憤りは覚えない。
本気の合理化も赤字削減努力も
何もやってない
から怒るのだ。
何の努力もせずに、儲かっていた時代と同じ姿勢で緩慢な企業運営を行っていながら、赤字が出ればそれの補填を自治体に
当然のように
求めてくる。
そんな芸予汽船の姿勢が許せないのだ。
素人ですら思いつくような努力すらやっていない。
本当に何もやっていないのだ。
上島町民も多く勤める、いわゆる地域主幹企業の一つである内海造船。
二部とはいえ上場企業だ。
その内海造船でさえ、業績が低迷している時期には、従業員の賃金を一律1割カットしたり、週休2日制の中、月4回ある休日の土曜日のうち1日を協力出勤とし、従業員全員が事実上休日返上するようなこともやっていた。
そこまでやって企業の危機を乗り切ろうと努力していた。
それに対し、やはり、芸予汽船は正味
何一つやってはいない。
社員の賃金のカットなども皆無
だ。
とても
税金で赤字補填を受けている企業の姿ではない!
ちなみに
昨年廃止に追い込まれた弓削-生名-尾道航路を運航していた瀬戸内クルージングの船員と比較して、芸予汽船の船員の給料はその2倍以上の金額と言われている。
そんな瀬戸内クルージングを、上村俊之町長を筆頭とした腐敗上島役場は散々足蹴にし、微塵も同社の血の出るような努力に見合った救いの手を差し伸べることもなく、無残に航路を見殺しにした。
それに対し、片や芸予汽船にはせっせと税金で多額の赤字補填を続ける。
このあからさまな違いは何だ?
「この町に正義はない!」
と高梁は
個人的に
考えている。
否定したい輩はすればいい。
それでも高梁は確信する。
「上島町に」
いや、正確には
「上島町の行政に正義はない」
と。
今でこそ赤字が当然といったイメージのある芸予汽船だが、しまなみ海道が全通し、航路が現在の快速船での運航になったばかりの頃、実はまだ結構儲けていたことをご存知だろうか?
現に、しまなみ海道全通後、土生-今治間のバス路線が開設されたが、芸予汽船の快速船との競争に敗れ、開業僅か1ヶ月で消滅したというエピソードが残っているくらいだ。
当時はそれくらい芸予汽船の快速船航路は強かったのだ。
そして、儲けた金は全部愛媛汽船と因島汽船のもの。
つまり
儲かったら儲かったで、それは愛媛汽船と因島汽船だけで山分けし
赤字が出たら自治体だけに税金で穴埋めさせる
ということだ。
繰り返しになるが、本当にこれほど
おいしくて
虫のいい
商売はない。
第三セクターの皮を被った虫のいい民間企業
それが芸予汽船だ。
「赤字補填を要求するなら、本気でやるべきことをやってからにしろ!」
それだけだ。
こんな中、薄汚い上村俊之町長と議員の愚かさにより、約5300万円もの芸予汽船に対する赤字補填を決めてしまった上島町。
本当に情けない話だ。
では、今後上島町は、今治-木浦-岩城-弓削-生名-土生航路を維持するにはどうすればいいのか?
それを次回あたりにとりあげようと考えている。