【日本語版リポート】世界チームカップラート競技選手権大会 | やすの「ラート」的生活

【日本語版リポート】世界チームカップラート競技選手権大会

世界チームカップラート競技選手権@ザルツブルクの活動報告会に参加して来ました!

 

選手団と、日本代表チームを支援してくださった方々が参加して、試合の様子などを報告しました!

 

先日、本ブログで英語版の大会リポートをアップしましたが、日本語版が欲しい!という声もあるので詳しく書いてみます!

 

文字でどれだけ伝わるかわかりませんが、最後まで読んでいただけると、大会の様子が目に浮かんでくるかと思います!

 

【第1ラウンド】

まず登場したのは、ドイツのマルセル選手。昨年の世界選手権男子個人総合チャンピオンです。種目は直転。第1ラウンドからジョーカー(ラウンド点が2倍になる。使えるのは各国1回だけ)を使って勝負を仕掛けてきました。しかし、簡単な技でラートが揺れてラインオーバーしてしまうアクシデントに加え、滅多に無い大減点を連発。得点は、まさかの5.4点という結果に。

 

続いて登場したのは高橋の斜転。前半の技は若干乱れたものの、大きなミス無くまとめ、10.60点。初挑戦の技を成功させることができ、満足のいく演技内容でした。

 

スイスはシェイエン選手の跳躍。後方伸身宙返り1回ひねりは高さ不足が目立ち、7.35点。オーストリアからは直転のスペシャリスト・アレックス選手がジョーカーを使用して登場。新曲に合わせ、ほぼ完璧な演技を見せ、11.10点を獲得。その結果、オーストリアが4ポイント×2で8ポイント、日本3ポイント、スイス2ポイント、ドイツ1ポイント×2で2ポイントとなりました。

 

【第2ラウンド】

ドイツからは斜転世界チャンピオンのヤナ選手が登場。高難度の技を連発する流石の演技で、10.95点を獲得。日本からは松浦選手が直転で登場。途中まで良い演技だったものの、惜しくも後半にD難度が1つ抜けてしまい得点は8.70点。スイスはベテランのザビーネ選手が得意の直転。大きなミス無く、オリジナル技を成功させて10.35点。オーストリアのイングリッド選手の斜転は、攻めた演技をしたものの大減点が2回あり、8.10点。その結果、ドイツが4ポイント、スイスが3ポイント、日本が2ポイント、オーストリアが1ポイントを加算しました。

 

【第3ラウンド】

ドイツは世界選手権女子個人総合チャンピオンのリリア選手が直転で登場。床の転がり具合に戸惑うような場面があったものの、しっかりとまとめ11.40点。日本からは小山選手の斜転。くじ運の関係で高得点が求められるラウンドということで、攻めた演技を披露したものの大技で大減点やラインオーバーがあり、惜しくも9.30点。次のオーストリア・ヴェロニカ選手の直転は、会心の出来で10.65点、スイスのシェイエン選手の斜転は、安定感抜群で11.65点でした。スイスが4ポイント、ドイツが3ポイント、オーストリアが2ポイント、日本が1ポイントを加算しました。前半を終え、地元オーストリアが11ポイントで首位、スイスとドイツが9ポイントで並んで2位、日本は6ポイントで4位で折り返しました。

 

【第4ラウンド】

ラウンド開始前にジョーカーを掲示したのは日本とスイスで、対するは堀口選手とシェイエン選手。2人の過去の直転成績は堀口選手の3勝2敗ですが、激戦が予想されました。演技順的に最初に登場したのは、ドイツのマルセル選手。種目は跳躍で、最高難度である後方伸身宙返り2回ひねりに挑戦。1本目は着地まで決めたものの、2本目に着地の衝撃で右脚を骨折。レスキュー隊が登場し、会場内は騒然とした雰囲気に。しばらく中断となりました。約30分後、ざわめきが残る中で登場したのは、堀口選手の直転。珍しく細かいミスがあったものの、ポップな「メリーポピンズ」の曲に軽快に合わせ自己ベストに迫る11.35点を獲得。重苦しかった会場の雰囲気を一変させる演技でした。次のオーストリア・アレックス選手の斜転は、大きなミスが続き7.45点。そして、スイスのシェイエン選手が直転で登場。今大会は揺れやすい床の状況だったにも関わらず、ほとんど影響を感じさせない安定感のある演技を披露し自己ベストの11.85点。今回は彼女に軍配が上がりました。この結果、スイスが4ポイント×2で8ポイント、日本が3ポイント×2ポイント、ドイツが2ポイント、オーストリアが1ポイント加算しました。順位も変動し、スイスが1位、日本が2位、3位がドイツとオーストリア。

 

【第5ラウンド】

ドイツは直転世界チャンピオンのキラ選手が登場。高難度の技は成功させたものの、揺れやすい床の影響から細かいミスが目立ち10.85点。

 

次は高橋の跳躍。第4ラウンドで事故が起きたのと同じ、後方伸身宙返り2回ひねりを実施。これまで普通に決めてきた技とは言え、会場中から心配の目が注がれているのを感じました。ですので、とにかく安全に実施することだけに集中しました。万が一でも、ここで怪我でもしてしまえば、競技会が中止になってしまうかもしれないからです。無難にまとめた結果、10.15点に留まってしまいましたが、致し方ありませんでした。

 

オーストリアのイングリッド選手は、おそらく自身最高の出来で10.85点。地元選手なので、会場も大盛り上がりでした。スイスのエドウィナ選手の斜転は、姿勢の安定感が抜群で11.75点という高得点をマーク。その結果、スイスが4ポイント、ドイツとオーストリアが3ポイント、日本が1ポイント加算となりました。なんと、この時点で早々とスイスが初優勝を確定させ、会場にはどよめきが起こりました。

 

【第6ラウンド】

ドイツはリリア選手の斜転。高難度かつ安定感のある演技で11.85点を獲得。

 

続いて高橋が直転で登場。揺れやすい床ということで、練習から対策をしていたものの、数カ所で影響を受けてしまいました。落下は回避したものの難度が下がってしまい、自己ベストに遠く及ばない10.35点という結果に。

 

オーストリア・ヴィンセント選手は、得意の跳躍。本来出場するはずだった選手が1週間前に怪我をして欠場することになり、急遽の代打だったそうです。しかし、その影響を感じさせず、前方伸身宙返り1回ひねりを綺麗に決め、8.40点。事情を知っている会場の観客は拍手喝采でした。最後に登場したのはスイスのマティアス選手。優勝が確定しているからか、とても伸び伸びした演技で、オリジナル技や高難度の技を成功させ10.65点を獲得。最終演技に相応しい内容で、大会を締めくくりました。ドイツが4ポイント、スイスが3ポイント、日本が2ポイント、オーストリアが1ポイント加算し、最終結果は、1位スイス24ポイント、2位ドイツ18ポイント、3位オーストリア16ポイント、4位日本15ポイントでした。

 

【所感】

下馬評ではドイツ対日本が優勝争い、スイスが3位、オーストリアが4位という見方が多かったと思います。しかし、ジョーカーで8ポイントを取れたスイスとオーストリアが予想以上にポイントを伸ばし、それぞれ初優勝と初3位という結果に。スイス、オーストリアともに、本当におめでとうございます!チームカップの面白さが最大限発揮された試合だったのではないでしょうか。しかも、出場する選手は各国から4人だけという、ハイレベルな演技ばかりで、観客の皆さんはとても楽しかったと思います。いつの日か、日本でも国際大会が開催できたら・・・そんな思いがこみ上げてきた大会となりました。最後になりますが、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます!

photo by Bart Treuren