総務常任委員会視察 (平成24年11月7日~9日) | 清須市議会議員 高橋てつおオフィシャルブログ Powered by A,meba

総務常任委員会視察 (平成24年11月7日~9日)

清須市議会総務常任委員会で平成24年11月7日~9日にかけて行政視察を行いました。
訪れたのは神奈川県の相模湾沿いの鎌倉市、平塚市、小田原市の3市です。

参加者は総務常任委員長 高橋哲生、副委員長 猿山由利子、委員として天野武蔵、八木勝之、住田元則、松尾議会事務局長の6名です。(1名不参加)

鎌倉市
1日目に訪れた鎌倉市はかつて幕府が置かれた「武家の古都」。三方を山に囲まれ海にも面する風光明媚なまちです。鶴岡八幡宮を核として多くの寺社が点在する門前町の様相と首都圏富裕層の保養別荘地としての様相が相まった景観豊かな文化観光都市です。年間観光者数は1800万から2000万人。
「週間東洋経済日本のいい街2012」では裕福な街として堂々の全国1位。日本のナショナルトラスト運動発祥の地でもあり、ごみリサイクル率でも5年連続(2004年~2008年)全国一位。
面積39.60k㎡ 人口約17万4千人。財政規模約1000億円(一般会計・特別会計含む)

鎌倉市では「古都中心市街地の防災対策について」というテーマでお伺いしました。

①防災体制   

 防災案全部が置かれており 危機管理課、総合防災課、市民安全課の3課の体制。

②鎌倉市の防災対策の要点

 ○三方を山に囲まれている為がけ崩れが多く、その対処の出動が多い。総合防災課のがけ地対  策担当が忙しい。土木の職員と連携している。「土砂災害ハザードマップ」策定済

 ○相模湾に面しており津波の危惧がある。有名な高徳院のの大仏も1498年の「明応地震」により津波が襲来し大仏殿が消失している。現在「鎌倉市津波浸水予測図」暫定版を平成24年3月に策定済み。あくまで暫定であり今後神奈川県の確定的情報に基づきより詳細な「津波ハザードマップ」を作成する予定。「鎌倉市海抜マップ」も策定済。津波来襲時の緊急避難空地と緊急避難建築物(公共、民間施設併せて20箇所)が指定してあります。
また市内の電柱300箇所、ポストに140箇所、公共施設100箇所に海抜表示をしています。
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避難経路の路面表示も
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さすが景観保全を重視している街であり市内中心市街地は建物の高さ制限があります。
しかし避難ビル建設の為一部都市計画を見直す方針もあるそうです。景観と安全をどうマッチングしていくのか。

 ○観光都市としての防災。観光者向け、帰宅困難者対策。3・11東日本大震災時に5000人の帰宅困難者が発生した経緯を踏まえ、寺院・神社等と帰宅困難者一時滞在施設の指定の為の協定をしていく。
 
③ その他。 洪水・内水ハザードマップ策定済。防災行政無線(143箇所)の難聴対策としてラジオ型小型受信機の導入。海水浴場での海水浴客、ライフセーバー、海の家等巻き込んだ津波訓練実施。等々。

                                以上鎌倉市


2日目は平塚市へ
平塚市は人口約26万人。面積は67.83k㎡。財政規模は約1500億円(一般会計・特別会計含む)
商工農の産業と住宅地の均衡がとれた首都圏の主要な地域中心都市。2001年に特例市へ以降。
かつては東海道の宿場町として発展。また縄文弥生の遺跡も多数。平塚の地名は古墳が由来する。市の花は「かわらなでしこ」

平塚市ではファシリティマネジメント~施設管理の一元化をテーマに調査しました。

①まずファシリティマネジメントって何?から。

○アメリカで生まれた新しい経営管理方式
○社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会によれば「業務用不動産(土地、建物、構築物、設備等)すべてを経営にとって最適な状態(コスト最小、効果最大)で保有し、運営し、維持するための総合的な管理手法」と定義される。企業や官公庁、営利・非営利を問わず、業務遂行において不動産を利用する組織を対象とした施設の管理・運用手法である。
○保有・管理するすべての施設を対象として、竣工後(土地は取得、建物は施工、設備は設置の後)これらをうまく使っていくために必要なあらゆるマネジメント、経営的視点に立って建築物等のファシリティを有効・適切に計画・運営・管理し、ダイナミックな企業活動の展開に貢献する全体的な取組みを言う。(※以上wikiより引用)


②平塚市のファシリティマネジメント

平塚市のファシリティマネジメント(以下FMに略)は総務部財産管理課13名が所管しています。
393種類1406施設。総延床面積71万7000㎡を一元的に管理しております。
人口1人当り2.79㎡になるそうで、全国平均2・06㎡を上回ります。
まず私たちが驚いたのは、その用意して頂いた資料の量。資料№1~17までの資料の束が机に山積みになっていました。

③FM導入の経緯

平成18年4月に前市長からのトップダウンの指示で検討を開始しました。
○先進地視察(横須賀、杉並区、武蔵野市、茅ヶ崎市等)
○電話や手紙による事例研究。研修会出席
○庁内調整会議。検討委員会開催

を経て

平成18年9月26日に「平塚市公共施設総合的管理基本方針―施設の長寿命化・有効活用を目指して」を策定。この基本方針が全ての原則であり出発点となる。

③「平塚市公共施設総合的管理基本方針」について

(策定の背景)
人口減少社会到来。持続可能な成長社会構築の必要性。「成長・拡大の社会」から「成熟社会」への移行。
(課題)
既存施設を適切に維持管理・長寿命化を図り、管理コストを削減させていくことが重要。
少子高齢化の進展、人口減少から生ずる市民ニーズの変化への対応、施設の老朽化や大規模災害への対応、地球環境問題への対応。

(必要性)
これまでの個別施設ごとの維持管理から全庁的な視点での一元的維持管理へ転換し、総合的・中長期的視点に立ち、施設に要するコストの削減、環境負荷の最小化を図りながら施設を有効活用する「総合的管理手法」を導入する必要がある。

④総合的管理

○公共施設保全管理システム(各施設所管課が保有している情報を収集し、施設台帳を整理しデータベース化)導入
 施設情報(図面・写真・エネルギー・維持管理等の情報)・建物情報(修繕改修履歴・設備、部位・耐震・劣化診断・定期点検等の情報)・敷地情報(法条例等規則情報)がデータベース化され検索・閲覧できる。また建築物の部位ごとの周期と単価を登録できる。 
平成19年11月から運用開始。

このシステムにより

○20年後までの概算保全費用が計算でき、20年間の中長期保全計画を作成。さらに5年間の短期保全計画、そして単年度工事実施計画を策定する。
○高熱水費の使用量・料金を記録しエネルギー分析を行い、コストが削減できる。

らしい・・・ ちなみにアイフォース株式会社のソフトだそうだ。

○平塚市公共建築物耐震化計画 平成20年1月策定

 耐震促進法に基づき平成27年度までに耐震化率90パーセント以上を目指すための計画

○平塚市施設白書 平成20年11月策定

 市内全公共施設の現状把握の為の公開資料。(年数、面積、関連決算額等)
 ちなみにこの公共施設白書をまとめている地方自治体は都道府県で7件市区町村で59件である。

○平塚市公共建築物の長寿命化に向けた考え方

 保全計画の説明。施設の統廃合の検討の必要性。「施設整備保全基金」の創設について

 など市の考え方を市民向けに示してある。 

※施設の統廃合という難しい課題について理解を得るべく深い検討を重ねていくと同時に説明  責任を果たそうとする姿勢が伺える。

○「平塚市保有施設の保全工事に20年間で196億円かかる」という記者発表 平成20年11月


⑤現在の状況

ファシリティマネジメントについて平成18年度から平成21年度まで盛んな動きがあったようだが
平成21年度を最後に息を潜めている印象である。その理由は今回の調査のみでは知ることはできなかったが、平成23年4月30日に新しい市長に交代しており、今年が市制80周年ということで
3大事業をぶち上げているようだ。それは本庁舎新設に110億円、ゴミ焼却場に100億円、市民病院建設に100億円という内訳らしい。そのために施設保全計画が一時凍結されているとか・・・ もう少し裏の裏まで話を聞きたかったところ。


                                以上 平塚市


小田原市
最終日3日目は小田原市。
後北条家5代(早雲、氏綱、氏康、氏政、氏直)により関東の政治・経済・文化の中心都市として栄華を極めた歴史のある街。(1495年に北条早雲が小田原城を奪取して以来1590年に秀吉包囲により小田原開城するまでの96年間)ちなみに現在地元では北条5代の大河ドラマ化を強くPRしているらしい。江戸時代には徳川家の家臣大久保家の城下町として、東海道の宿場町として賑わう。二宮金次郎の出身地としても有名。人口約19万7000人。面積114.06k㎡。
財政規模約1350億円(一般・特別・企業会計含)富士・箱根の玄関口。市内には駅が17と利便性が高い。平成12年より特例市。

小田原市では行政改革をテーマに調査しました。

行革は清須市も含め掛け声とともにどこの自治体も同じように推進しております。
ここ小田原市でも冒頭に「特に変わったことはしておりませんので意見交換を一緒にしていければ幸い・・・」という言葉がありました。行革大綱の10年計画の資料、平成23年~27年までの行革指針。行革アクションプログラム2012の資料等を頂きました。これについての説明は割愛します。

特に興味を持ったのは「補助金の見直し」についての取組みでした。

○平成17年度に学識経験者や市民等10名による小田原市補助金等検討委員会を設置。そこで「補助金等の見直しに関する答申」がまとめられ約2億3,400万円の合理化提示額が出される。
同年約4,400万円の補助金削減を実施。

○平成18年度に法律・会計・地方自治の専門家からなる小田原市補助金等検討委員会を改めて設置。再度「補助金のあり方に関する答申」を得て補助制度の効率性・透明性を高めるための規則・要綱の見直しの提言があった。これにより補助要綱、交付基準、所管課の審査基準を明文化し補助団体から成果目標と実績報告を受けることとなる。

○平成21年度には200件約21億5000万円の全補助金のうち173件を対象に見直しを実施し1928万円の削減額が打ち出された。

○平成18年2月に助役より各所管に通達が出された。
前例踏襲的な考えは排除し補助金が市民から徴収された税金やその他の貴重な財源で賄われているということを常に念頭に置くこと。透明性及び公平性の確保、説明責任の履行、交付団体等の自立の促進に努めること。とあり、以下4点を特に留意することとしている。

①サンセット方式の導入(サンセット方式:政府の組織・制度あるいは事業などで、あらかじめ法律で終期を明示しておくこと)

補助金は団体の自立、基本的には初期の目的を達成するため交付するものであるため、新たに創設する場合にも3年以内の終期を設定すること。既存の補助金についても所期の目的を鑑み、廃止又は3年以内の終期を設定して目的の達成を図ること。

②事業費補助の原則

交付する補助金の目的、使途、成果等を明確にするため、特定の事業に充てることを原則とする。例外的に団体等の運営に充てる場合は、同様の趣旨により、その使途(事務局の人件費、消耗品費など)を明確にすること。

③補助対象事業の効率化

最小の補助金で最大の効果をあげるため、補助対象事業における委託業務の効率化、収益活動の活発化を促すこと。

④外部組織による定期的な検証

補助金の長期交付による歪みが発生し、恒常化しないよう3年程度の市民等による外部組織による見直しを図るとともに、必要に応じて、適宜そのチェックを受けること。また行政経営室においても定期的なチェックを行うこと。

※この通達はきっちり守られているのか?と問いました。あくまで所管への通達であるとの答弁でした。所管がこのとおりやっているのか、所管から各補助団体にも伝えてあるのかどうなのかまで把握もしてないようでした。ここも平成20年から新しい市長に替わったそうで、職員曰く新しい市長さんは市民協働を重視される方で・・・というようなお話でした・・・

清須市は23年度決算において負担金、補助及び交付金が約18億9300万円です。一般会計歳出約216億円の中の8・7%を占めております。

大河ドラマ館事件における1億1千500万円も推進協議会への補助金として支出されております。
不条理な補助金は、そのあり方自体から見直さなければなりません。

                              以上 小田原市

以上が総務常任委員会行政視察の調査報告です。