今日は
「見ていない映画をレビュー」
と言う無茶なことを
やってみようと思いますw
というのは半分冗談で、
映画のストーリーから
インスピレーションを
感じたことがあったので
シェアしたいなと思います。
【映画「イエスタディ」】
今、
「イエスタディ」という映画が公開中です。
売れないシンガーソングライターの
ジャックが
音楽の道をあきらめたその日に
12秒間、世界中で謎の大停電が発生します。
街中が真っ暗になってしまった
そのタイミングで
ジャックは交通事故に遭い
昏睡状態になってしまいます。
ジャックがその昏睡状態から目を覚ますと、
ビートルズ存在していない
世の中になっていました!
世界中で彼らを知っているのは
ジャックひとりだけ。
その状況を利用してジャックは
ビートルズを自分の曲として発表し、
次々に成功を収めていきますが...。
【絶対的存在としてのビートルズ】
この映画の柱となるのは
「あの有名なビートルズを
もし世界であなたしか知らないとしたら
一体あなたはどうするでしょうか?」
と言うものです。
「ビートルズは世界中の人が知っている」
という状況をひっくり返したところで、
物語をスタートさせています。
逆を言えば、
それほどまでにビートルズは有名で
ビートルズを知っているという事は、
世界中のお約束といえます。
1962年にデビューし1970年に解散するまで
わずか8年の活動期間にもかかわらず、
アルバムの売り上げ枚数は
5億〜6億枚と言われています。
売り上げだけではなく音楽性や
そのファッション、
メンバーの発言等は若者に多大な影響与え、
20世紀のポップミュージックの歴史を
変えたと言ってもいい存在です。
つまり20世紀におけるビートルズは
ポップロックミュージックにとって
「絶対的な存在」です。
「その絶対的な存在を皆が知らなかったら?」
そんな「ありえない、もしも」を軸に
このストーリーは展開します。
【週刊少年ジャンプの発売日を知らない少年】
先日コンビニに行った時、
「週刊少年ジャンプの発売日は
いつだったか?」
を、レジ打ちをしている
男子高校生のアルバイトに尋ねました。
彼は、
「すみません。
自分、マンガを読まないもので
知らないんです。
と答えました。
全く予想もしない答えだったので
大変驚いたのですが、
後から考えるとこのエピソードは
なかなか興味深いと思いました。
僕は学生時代の時は
少年ジャンプの発売日である月曜日になると、
誰かが買ってきた少年ジャンプを
みんなで回し読みして、
夕方にはクラス全員が少年ジャンプを
というような状態でした。
つまり少年ジャンプは
絶対的な存在だったのです。
週刊少年ジャンプは1994年の653万部という
とてつもない数字を叩き出したのをピークに、
現在は169万部まで落ち込んでいます。
ピーク時から1/3の発行部数になる裏側には、
先程の男子高校生アルバイトのような存在が
増えているであろうことが想像できます。
【記憶が記録となる】
映画「イエスタディ」は、
突発的事故によってビートルズが
忘れ去られると言う状況を描いていますが、
時間が経てば時代が進めば、
そういう突発的なことが起こらなくとも
「世間がビートルズを知らない」
と言う状況が訪れると思います。
記録をひもとけばアーカイブされた
音源や映像がふんだんにある彼らですが、
活動当時の活躍やその熱量を知るものは
時間が経つごとに減少して行き、
最終的にはゼロとなります。
「記録は記憶がない」
と言う状態なわけです。
記録というものは熱量を伴わない
単なるデータです。
単なるデータでは、
人間の記憶に刻まれにくいのです。
「君が知らないだけで
ビートルズって
ほんとにすごかったんだぞ!」
と言われてたところで、
その話を聞いている側は
当時の雰囲気を体感していないので、
よくわかりません。
時間が進むにつれて
当時の熱量を体感したものは
減っていきますから、
いずれビートルズの話を
熱量持って話す人が居なくなります。
そうしてビートルズは
記憶から記録となります。
どれだけ強大で絶対的な存在でも、
永遠の存在たりえない
ロジックがここにあります。
しかし、そういう状況になったときに
「すばらしい文化遺産だから
保護して伝承せねば」
と言う動きが出てくるかもしれません。
でも「保護して伝承する」カルチャーなんて、
どのみち滅ぶ運命にあります。
ポップカルチャーは
世間の支持が必須なのですから、
「保護しなければ」
ならない状態と言うのは、
そのカルチャーが世間に対し
役割を終えたと言う事でもあります。
諸行無常とは本当によく言ったもので、
いかに強大な勢力、
影響力も永遠ではないのです。
ビートルズですら、然り。
それでも、人類が前に進むには
この忘れるということは
とても大事なことなのです。
ほら、部活をやっている時
何10年も前に卒業したOBが突然やってきて
偉そうにされるって局面があるじゃないですか。
あれって嫌じゃないですか?
現役で部活をやってる側は
もう現役の事情で動いてるんですから、
過去の栄光をカサに
あーだこうだ言われてもねぇ。
今を生きる我々は
今を一生懸命生きて
さっさと前行こうぜって話ですよね。