最近、近藤誠という医師が病院に行かないように勧めて話題になっています。健康診断もお勧めではないらしい。なぜなら、健康診断で見つかる小さな腫瘍は「ガンもどき」の場合が多いので、手術をするとかえって転移を早めるららしい。
一般の人は、治療をすることは良いことだと信じるから病院に行くのだけれど必ずしもプラスになるとは限らないということらしい。確かに、病院は高度の治療機器を導入するとローンの返済のためにも機械を使って治療費を稼がないといけない。
手術もできるだけたくさん行って治療費を稼がないと経営が成り立たない。だから、純粋に医学的見地ばかりではなく経営的見地で健康診断や手術を勧めてくるのも理解ができる。
塾や予備校も同じです。一般の方は「授業を受けると成績が上がる」と信じている。しかし、必ずしもそうではないのです。塾や予備校は、講師に給料を払わなければならないから生徒が一定数必要なのです。
だから、純粋に教育的見地ばかりではなく経営的見地から「きっと成績を上げてみせます」と言わざるをえません。
近藤誠医師によると、どうせ治らないガンなら下手に入院して苦しい抗がん剤と闘い苦しみながら死んでいくより、健康診断など受けずにガンであることを知らないまま(体内に抱えたまま)寿命を全うした方がQOL(quality of life)を高く維持できるそうです。
塾も似たようなものです。テストの得点力を上げるには、とにかく過去問を大量に解いて慣れるしかありません。授業を聞いていても得点力は上がりません。高学力の子は、役に立たない授業中は内職で問題を解き続けています。
病院は利益を上げるために健康診断のチェック項目をできるだけ多くします。しかし、その多くのチェック項目すべてが平均値になる人などいません。必ずどこかに平均からズレる数値が出ます。すると、医者は「いけませんね」と言って投薬や治療が始まるのです。
同じように、塾や予備校も模試をたくさん行い細かな分析結果を出します。その科目別、単元別の項目すべてが上位になる子はいません。必ずどこかに「不得意」分野が現れます。すると、講師は言います。「ここがキミの弱点です。塾で補強しましょう」。
医者のひいたレールの上に乗っかっていれば健康で充実した生活が送れると考える人はいません。最近、やっと「インフォームドコンセント」の考えが広がり患者が治療方法を選択できるようになりましたが、まだまだです。
塾や予備校はもっと遅れていて、生徒は塾や講師の言いなりの場合が多い。塾や講師の作ったカリキュラムどおりにやれば志望校に合格できる保証などありません。