■学校側も宗教トラブルを防ぐための配慮が必要
これは創価学会の事例ではないが、学校現場で信仰のことが大きく問題になったものに、「エホバの証人」の信者が必修科目である武道の授業を受けることを拒否した出来事がある。
エホバの証人はアメリカで生まれたキリスト教系の新宗教で、聖書について独自の解釈をおこなっている。その一つが、学校で武道の授業を受けることの禁止である。信者の生徒たちはそれに従ったのである。
これに対して、学校は最終的にその生徒を退学処分とした。そこで生徒の側は、それを不当として裁判に訴えた。
地方裁判所における一審では、学校側のやり方が「信教の自由の保障する限界を逸脱し」ておらず、「著しく反社会的なものである」とは言えないとして、原告の生徒の請求を棄却した。
ところが、高等裁判所における二審と最高裁の判決では、武道に代わる手立てを与えなかった学校側に問題があったとして、原告の主張が認められた。
これによって、ほかの学校でも、同様の出来事が起こったときには、信教の自由を優先しなければならなくなった。