アンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」のように、17歳の自分に手紙を書いてやりたい。あの頃、今の自分が身近にいて指導してあげられたら、よかったと思う。
  私の塾生たちは、ラッキーだと思うことがある。さまざまな予備校講師や塾講師を見てきて、自分以上に情熱を持って指導している、努力し続けている講師がほとんどいないことを知った。
  私は、本当に生徒の立場に立って指導していると自分でも感心することがある。他のどの講師が生徒のために、英検や通訳ガイドの国家試験を受けるだろう。生徒のために、Z会を8年も受講して研究するだろう。京大模試を10回も受けるだろう。京大二次試験を7回も受けるだろう。
  365日、24時間体制で質問を受け付けたり、情報収集にあたる講師なんて滅多にいない。
  高校生の自分に、こんな親身になって指導してくれる講師がついていたら、どんなに心強かったかと思う。おそらく、ノイローゼで倒れたり、入院したりせずにすんだと思う。
  でも、あの苦しみがあったからこそ、目の前の受験生が何を必要としているのか、何を求めているのかが分かるわけだ。倒れるまで追い詰められた講師でないと、できない指導というのはあるのだ。
    でも、勉強に価値を感じられない生徒には何も伝えることができない。野球やテニスが勉強より重要だと考える生徒には、何も伝えられない。だから、私は学力上位で、マナーを守れる、いわゆる「良い子」だけを指導対象にしている。
  具体的に書くと、四日市高校、桑名高校や、東大や京大をめざす子たちのことだ。新学期が近づくと、どの予備校も塾も
「うちに来れば、楽勝で難関校に合格できまっせ」
  と、宣伝に全力を注ぐ。そんな軽薄なCMに乗せられる生徒は、要らない。合格の可能性がないからだ。還暦になって同級生を見渡すと、意外な子はほとんどいない。
  乱暴だった子は暴走して寝たきりになったとか、学年トップだった子は京都大学の教授になっていたりする。この世には奇跡なんて、ほとんどない。規則正しい生活をして、エチケットが守れて、予習復習をする。そういう子でないと、ランクの高い高校や大学に合格できるわけがない。
 だから、クラブばっかりやっている子の指導は勘弁してもらっている。
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 (2)、よく読まれるエッセイ
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