映画広告シリーズ ~ 渋谷の映画館に生首が展示された『青銅の顔』(昭和34年) | 高木圭介のマニア道

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~浮世のひまつぶし~

昭和34(1959)年4月。首狩族部落 に伝わる戦慄の奇習を総天然色で長編記録したスイス映画 『青銅の顔』 (ベルナール・テザン監督)の新聞広告。



のちの ヤコペッティ映画 のように、信じられないような残酷描写をウリにした映画だとは思うのだが、堂々たる 文部省選定映画 にして 優秀映画鑑賞会推薦作品 。日本語版ナレーションは初期の劇団四季で活躍した 水島弘。私の年代だと 『大鉄人17』 のブレインの声というか、「有光洋介、警視庁捜査1課の刑事だった~」とかで始まる藤岡弘主演の 『白い牙』 のナレーションの人だ。



(19)58年の カンヌ映画祭 では国際記録映画賞も受賞してるみたいだし、同時上映は美しい花と昆虫の関係に自然の不可思議を捉えた総天然色短篇 『花と昆虫』 だし、やっぱりこれは残酷モノではなく、教育にも良い、素晴らしき感動の記録映画なのではないか? と、ついつい思わされてしまう。


滅びゆく民族

胸うつ詩情と哀感に貫かれた記録映画の金字塔!

首狩族部落に伝わる戦慄の奇習!

凄惨 目をおゝうラマの生贄!

圧巻!ラマの生贄!その血は聖水として大地に捧げる!

と広告に並ぶ数々のコピーだけを見ても判断はつきかねる…。



しかし、上映される東急文化会館1階にあった 渋谷パンテオン では、なんとなんと、東大人類学教室所蔵の ジバロ族 が狩った 本物の生首 (推定100年前もの)を展示していたというから恐ろしい。

64年後の現在、映画の客寄せのためとはいえ、同じ場所(渋谷ヒカリエの1階)に本物の生首を展示したりしたら、世間から 凄まじいバッシング を浴びそうだ……っていうか当時は大丈夫だったのかな?