追悼・貴家堂子さん~タラちゃん、アクビ娘、ハジメちゃん | 高木圭介のマニア道

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~浮世のひまつぶし~

53年前(昭和44年)の放送スタート以来、主演の 加藤みどり (フグ田サザエ)とともに、タラちゃんの声を演じ続けてきた 貴家堂子 (さすが・たかこ)さんの訃報を知る。享年87だったそうだ。サザエさん一家の訃報は、あまりに長い期間に渡って馴染みが深すぎるため面識もないというのに、まるで親族のソレのように感じてしまうものだ。



最近でこそ、エンディングのテロップにふりがながつくが、昔はなかった。なので「貴家堂子」が読めなかった。名字名前ともに難読 という珍しいパターンだ。そんな貴家さんが鬼籍に入られたことで、放送開始以来、声が変わっていないのは主役のサザエさんのみになってしまった。


  昭和44年10月5日 (日曜) のテレビ欄

サザエさんが放送開始した日(昭和44年10月5日・日曜)のテレビ欄を眺めると、午後6時から『ハクション大魔王』、午後6時30分から『サザエさん』、午後7時30分から『ムーミン』と、現在も知名度の高い番組が一気にスタートしていることが分かる。

貴家さんと加藤みどりは、ハクション大魔王でも主役級の カンちゃん (加藤みどり)と アクビ娘 (貴家さん)とコンビを組んでいるのだから凄い。もっと言えば、初代波平こと永井一郎さんも大々魔王として出演している。

4月から放送していた『もーれつア太郎』では、花沢さんの声でおなじみの 山本圭子がア太郎役 で、その子分というか相棒の デコッ八が加藤みどり。ア太郎の父・×五郎は永井一郎さん。それでいて山本圭子と貴家さんは『天才バカボン』において、バカボン (山本圭子)と ハジメちゃん (貴家さん)で兄弟だったりと、この時代の声優さんは大忙しだ。

貴家さんは昭和30年代の米国産ドラマ『わんぱくデニス』で主演のデニスを吹き替えていたことでも知られるが、貴家さんの前にデニスの声を担当していたのは2代目カツオ役の高橋和枝さんだった。


  昭和36年3月の新聞記事

平成時代(1993年)に入って、『わんぱくデニス』がリメイクで映画化され、それが VHSソフト として販売された時のウリは、サザエさんでおなじみの声優さんたちによる吹き替えであることだった。あの吹き替え版デニス、どこかで入手しておきたいものだ。

テレビ欄を眺めつつ、他の番組タイトルが目に入るにつけ、あらためてサザエさんが半世紀以上も前の番組であることが思い知らされる。そして、同じ役を演じ続けたことに畏敬の念を感じずにはいられない。合掌。