映画広告シリーズ ~ 『銭ゲバ』 と 『裸の十九才』 二本立て (昭和45年10月) | 高木圭介のマニア道

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~浮世のひまつぶし~

昭和45年10月、1,000万ヤングの共感と昂奮を呼ぶ!東宝系二本立て 『銭ゲバ』(和田嘉訓監督)と 『裸の十九才』(新藤兼人監督)の新聞広告。



行儀よく健康的なイメージが強い東宝系で、このような若者向け映画はかなりの変化球かも。左目を潰して主人公・蒲郡風太郎を演じる 唐十郎 が広告の中でも 「人の心も銭で買えるズラ!」 と清々しく宣言している。

「銭のためなら何でもするズラ!」

「少年サンデー100万読者を熱狂させたジョージ秋山の地獄のフィーリングを完全映画化!」

なんと破壊力のあるコピーだろうか…。

とにかく救いのない内容で、劇中、何人の人間が殺されたことか。そして原作同様にラストまで何のカタルシスもない。唐十郎によって灰皿で撲殺される岸田森のエキセントリックな死にっぷりのみが唯一、「笑えるシーン」かも知れない。

「♪聖徳太子の昔から 地獄の沙汰も銭次第~」 と唐十郎自らが歌う主題歌 『銭ゲバ大行進』 (作詞は映画プロデューサーの奥田喜久丸で、作曲は浜口庫之助)は軽快にして不快な名曲。

また映画ラストで緑魔子も赤ん坊も殺害し終えた唐十郎が海岸にて嗚咽するシーンでかかる 「♪地獄極楽ど畜生 南無阿弥陀仏の人生さ~」 の歌詞が突き刺さってくる『銭ゲバよ』がジョージ秋山先生自らの作詞となっている。

現在、NHKの人気番組 『突撃!カネオくん』 のオープニング曲に使用されて話題になっている、白木みのる歌唱の 『銭$ソング』 は、よく銭ゲバの主題歌と勘違いされがちだが、こちらは『ダメおやじ』でおなじみの古谷三敏の漫画 『マンダム親子』 (昭和46年から週刊少年キングに連載)のイメージソング。で、作詞はこれまた漫画人脈で 赤塚不二夫 ときているから、非常にややこしい…。

唐十郎が熱唱する『銭ゲバ行進曲』や『銭ゲバよ』も、人気バラエティ番組で積極的に使用して欲しいものだ。