孫子の謀攻篇に「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。」という有名な言葉があります。
「孫子曰わく、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ。軍を全うするを上と為し、軍を破るはこれに次ぐ。旅を全うするを上と為し、旅を破るはこれに次ぐ。卒を全うするを上と為し、卒を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上と為し、伍を破るはこれに次ぐ。是の故に百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。」
(孫子は述べた。およそ戦いの原則としては、敵国を傷つけずにそのままで降伏させるのが上策で、敵国を討ち破って屈服させるのはそれに劣る。軍団を無傷にそのまま降伏させるのが上策で、軍団を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。旅団を無傷にそのまま降伏させるのが上策で、旅団を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。大隊を無傷にそのまま降伏させるのが上策で、大隊を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。小隊を無傷にそのまま降伏させるのが上策で、小隊を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。それゆえに百たび戦って百たび勝利するのは最高にすぐれたものではない。戦わないで敵兵を屈服させるのが、最高にすぐれたことである。)
孫子は戦争について述べながら、いかに戦争が国民を犠牲にして国を消耗させるかを熟知していました。
そして、戦争を起こさないことが最高の戦略だと述べています。
ローマの諺にも「汝平和を欲さば戦への備えをせよ。」という言葉があります。
どうやっても勝てないという力があれば、敵国は攻めようとはしません。
その上で外交が重要になります。
豊臣秀吉が得意としたのも圧倒的な軍事力を示して相手の士気を落とし降伏させる位攻めでした。
戦わずして勝つ方法です。
しかし、戦国時代に今川義元も位攻めで織田信長を降伏させようとしますが、奇襲をされて討死してしまいます。
位攻めも一度その強大さを疑われると脆く崩れさります。
強大と思ったり敵わないと思うのも人の心であり、意外と弱いと思ったり勝てると思うのも人の心です。
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