1784年1月17日(天明3年12月25日)に俳人の与謝蕪村が亡くなりました。
松尾芭蕉、小林一茶と並び称される江戸俳諧の巨匠の一人であり、江戸俳諧中興の祖といわれています。
また、俳画の創始者でもあります。
写実的で絵画的な発句を得意としました。
与謝蕪村の俳句を読むとその情景が思い浮かびます。
読むと綺麗な絵画が思い浮かぶようです。
それは感情の言葉を入れない写実的な俳句であるからです。
与謝蕪村に影響された俳人は多いですが、特に明治の正岡子規の俳句革新に大きな影響を与えました。
正岡子規が示した俳句の作り方も感情を入れず、その情景をそのまま描くことでした。
感情を否定したわけではありません。
感情の言葉を入れないことにより読み手の感情を呼び起こす俳句の作り方です。
感情の言葉は強烈ですが、自分の感情であり、相手の感情ではありません。
与謝蕪村の作品を載せておきます。
- 春の海 終日のたりのたり哉
- 柳散り清水涸れ石処々
- 鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな
- 花いばら故郷の路に似たるかな
- 不二ひとつうづみのこして若葉かな
- 牡丹散りて打かさなりぬ二三片
- 夏河を越すうれしさよ手に草履
- ゆく春やおもたき琵琶の抱心
- 易水にねぶか流るゝ寒かな
- 月天心貧しき町を通りけり
- さみだれや大河を前に家二軒
- 菜の花や月は東に日は西に
菜の花やの句はもっとも中学校の国語の教科書に出てくる有名な句です。
月が東に日は西にという黄昏を思い浮かべて菜の花の黄色の花々を思い浮かべます。
- 笛の音に波もよりくる須磨の秋
- 涼しさや鐘をはなるゝかねの声
- 古庭に茶筌花さく椿かな
- ちりて後おもかげにたつぼたん哉
- あま酒の地獄もちかし箱根山
- 鰒汁の宿赤々と燈しけり
- 二村に質屋一軒冬こだち
- 御火焚や霜うつくしき京の町
- 寒月や門なき寺の天高し
- さくら散苗代水や星月夜
- 住吉に天満神のむめ咲ぬ
- みじか夜や浅瀬にのこる月一片
- 秋の夜や古き書読む南良法師
- うつつなきつまみ心の胡蝶かな
- 雪月花つゐに三世の契かな
- 朝顔や一輪深き淵の色